« おとなたちは、何事も、子どもたちが将来しあわせになるためにやったんだ、なんていうんだ、ずうずうしい話じゃないか。 | トップページ | 書評:E・トッド(石崎晴己訳)『アラブ革命はなぜ起きたか―デモグラフィーとデモクラシー』藤原書店、2011年。 »

覚え書:「今週の本棚・新刊:『影の磁力』=原武史・著」。『毎日新聞』2012年05月27日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『影の磁力』=原武史・著
 (幻戯書房・2730円)

 書斎にこもって文字記録にのみ頼るのでなく、必ずや現場にも身をはこび、直接触れたモノやヒトからあざやかに歴史をよみとる、すぐれた肉体派の政治思想史家による最近の随筆集。二〇〇〇年から一一年に発表された書評、エッセイ、解説文、追悼文などの四九篇をおさめる。

 現場主義の著者はとうぜん旅の達人で、本書の後半は主に鉄道エッセイ。線路と風景の歴史の変遷に目くばりしつつ、軽やかで楽しい文化論が展開される。一わんの駅そばの湯気の中に、日本とイギリスの鉄道文化の差異が浮かびあがったりする。

 そして迫力あるのは前半の、天皇制をめぐる書評と諸論。史家としての著者の一つの原点は、新聞記者として昭和天皇の最晩年を取材したこと。その時、東京の中央に隠然と皇居が広がり、その不可解な<影>の制度が、昭和史を貫通することに気づいた。この解明を志した。

 書評の形をとりつつ著者が指摘する、皇后の宮中祭祀差配の可能性や、八月十五日神話の意味、皇居開放による近代日本史の見直しなどの問題は、じつに刺激的。三島由紀夫『春の雪』に、大正天皇のメタファーを発見する読みにも驚いた。(叙)
    --「今週の本棚・新刊:『影の磁力』=原武史・著」。『毎日新聞』2012年05月27日(日)付。

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http://mainichi.jp/feature/news/20120527ddm015070047000c.html

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