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魂の場合は、無理に強いられた学習というものは、何ひとつ魂のなかに残りはしないからね

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 「ほかでもない」とぼくは言った、「自由な人間たるべき者は、およそいかなる学科を選ぶにあたっても、奴隷状態において学ぶというようなことは、あってはならないからだ。じじつ、これが身体の苦労なら、たとえ無理に強いられた苦労であっても、なんら身体に悪い影響を与えるようなことはないのだけれども、しかし魂の場合は、無理に強いられた学習というものは、何ひとつ魂のなかに残りはしないからね」
 「おっしゃるとおりです」と彼。
    --プラトン(藤沢令夫訳)『国家(下)』岩波文庫、1979年、153-154頁。

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先週の哲学の講義で、古代ギリシアについてはなんとか終わらせることができました。しかしまあ、15回で全部抑えろというのが土台無理な話なんですが、それを言い始めるときりがないことも承知しておりますので、後は、関心をもった一人一人が深めていくしかないと思います。

結局のところ、大学の教室の90分というのは、それですべてが完結するパッケージではありませんので、興味をもった部分については、教師や図書館を利用しながら、そして友人達と意見を交わしながら、自分自身で発酵させていくプロセスというのが大事なんだろうと思います。

プラトンやアリストテレスについては、ホワイトヘッドをひくまでもなく、以後の西洋哲学の歴史はそのデッドコピーのくりかえしといっても過言ではありませんが、なんとかポイントは示すことができたのではないかと思います。

リアクション・ペーパーで反応を確認しただけでも、わりとその違いを理解してくださったようで何よりです。

先日の授業では最後に、あわせて、教養を自分で深めていく挑戦についても……まあ、うえのような話ですが……言及しましたが、このことについても深く同意をいただいたようで、こちらも何よりです。

結局の所、「魂の場合は、無理に強いられた学習というものは、何ひとつ魂のなかに残りはしないからね」とソクラテスが語る通りです。

しかしまあ、就職活動に「役に立つ」やら「スキルアップ」などという糞みたいな科目というのは「魂をすり減らす」ようなものばかり。

哲学ぐらいはそうならないように、このあとも、自由にゆるくつづけます。


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