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書評:セバスチャン・ロファ(原正人、古永真一、中島万紀子訳『アニメとプロパガンダ 第二次大戦期の映画と政治』法政大学出版局、2011年。

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戦争の歴史とその発展を重ね合わせてきたアニメの歩み--大戦時各国の作品を比較検証

セバスチャン・ロファ(原正人、古永真一、中島万紀子訳『アニメとプロパガンダ 第二次大戦期の映画と政治』法政大学出版局、2011年。


「政治の指導者たちがイメージの力に気づいたのは四十年代の初めになってからである。敵国を非難するすぐれた風刺アニメが一つあれば、巧みな文章で書かれた数百枚ものビラよりも多くの打撃を与えることができる。アニメの説得力は戦争を通じて発見されたのである」。

 本書は、第2次世界大戦時に日本やアメリカをはじめとする世界各国で制作されたプロパガンダアニメを詳細に検証し、その実像を描き出す。

 メディアと戦争の関係を扱う人間には、例えば、海軍省が巨額の経費をあてて質の高いプロパガンダ映画を製作したことは有名だが、イタリアやドイツ、フランスやソビエトなど各国の事例とすり合わせて検証した労作は殆ど無かったため、その出発点と現時点での集大成となる一冊といえよう。著者はフランスの研究者で1980年生まれと若いことに驚いた。

 さて、なぜ戦争にアニメが動員されるのか。それは「アニメは複雑な情報を絵で表現することで、誰にでもわかりやすく伝えられる」からである。アニメの誕生は1930年代だから戦争の歴史とその発展を重ね合わせてきたといってもよい。その源流を辿ることは、文化と権力の関係を知ることにもなりえよう。

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