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覚え書:「今週の本棚・新刊:『ガリ版ものがたり』=志村章子・著」、『毎日新聞』2012年06月10日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『ガリ版ものがたり』=志村章子・著
 (大修館書店・2520円)

 簡易印刷器の主役だった、ガリ版(謄写版)の歴史を訪ねる本。トーマス・エジソンのミメオグラフをもとに、堀井新治郎父子が発明(明治二七年)したガリ版は、日清戦争では軍事通信に採用された。足尾鉱毒事件でも請願書などで大活躍。思えばひところまでは、学校の問題用紙や文集、チラシ、チケット、会報など、印刷物の大半がガリ版。原紙の罫線(けいせん)に合わせて、とてもきれいな字を切る人もいた。速さ、便利さ、安さ。ホットな情報に強い。ガリ版にまさるものはない。

 原紙は、和紙にロウ引き。高知・四国謄写堂の原紙が最高品質。鉄筆、ヤスリ、ローラーにも数々の工夫。「毛筆謄写版」もよろこばれた。「ガリ版の魅力は、その仕事にたちまち自らの魂が乗り移ることだ」(孔版画家・若山八十氏)。詩人宮澤賢治は都内の謄写プリント店・文信社に勤めた。郷里の友人などへの手紙では「仕事は大学のノートを騰写版に刷りて出す事に御座候」などと「騰」写版と書いた。終生「騰」写版と思いこんでいたなどエピソードも面白い。コピー機の普及もあり、ガリ版は昭和の終りごろに生産停止。「百年」の歴史を閉じる。(門)
    --「今週の本棚・新刊:『ガリ版ものがたり』=志村章子・著」、『毎日新聞』2012年06月10日(日)付。

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http://mainichi.jp/feature/news/20120610ddm015070033000c.html

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