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書評:藤原辰史『ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』水声社、2012年。

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藤原辰史『ナチスのキッチン 「食べること」の環境史』水声社、読了。ナチス時代の台所を材料に、20世紀の社会構造を分析する大著。

「私的な」「個人的な」作業場は、最新の技術や学問(家政学、栄養学、建築学)などを駆使することで、機能的かつ衛生的な「作業場」へと統合されていく。「私だけの城」という幻想は、食材を効率的に調理・保存することを可能ならしめるが、それは健康な夫と子供が輩出が目的でもある。最終的にはそれが戦争へと集約されていく。

多様な調理方法に「科学的管理法」を導入され、「栄養価」という概念が「普遍的な基準」として「標準食」の序列化を招き、食を「要素還元的」なものへ貶める。そしてそもそも「おいしい」「たのしい」という「快楽」としての食が「健康至上主義」に収斂されていく手際の良さには驚いた。まさに、「公共性」という視線の配置のしたたかさである。

テレビをつけると機能的な「台所」「キッチン」、そしてリフォームのCMがとぎれることはないのが現代社会とすれば、単なる「過去の話題」ですませることのできない社会分析。読んでいて抜群に面白い。


読んでいて抜群に面白い。
 

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