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覚え書:「今週の本棚:『道具と人類史』=戸沢充則・著」、『毎日新聞』2012年07月29日(日)付。

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今週の本棚:『道具と人類史』=戸沢充則・著
(新泉社・1680円)

 人類の歴史を道具に即してスケッチしたエッセー集。簡潔な記述から現代の病巣が浮かび、骨太の文明論として読み応えがある。考古学者で元明治大学長の著者は今年4月に亡くなった。社会に積極的にかかわるのが研究者の責任だと力説した人で、研究の成果をわかりやすい表現で市民に還元する活動を実践した。そのうえで、遺跡保護や平和運動などにも果敢に取り組んだ。そうした研究姿勢がよく伝わってくる。
 人類最初の道具は200万~300万年前の石器だ。河原石の一部を打ち欠いただけの粗製の道具だけれど、威力抜群。以後、人類はより効率的な道具を求めて技術と素材の獲得に奔走する。そうした過去の真摯な歩みに温かいまなざしを注ぎながらも、著者は技術の未来に根本的な疑問を抱く。文明の進歩は人類にとって本当は危険ではないか、と。
 第1章「道具のルーツ」の最後で「道具を作るこころと使うこころがいつも正しくかみ合うような人類の英知」の必要性を強調し、技術におごって地球を滅ぼしかねない人類に警鐘を鳴らしている。2000年以前の文章が多いが、3・11後の今、一層の含蓄が感じられる。(和)
    --「今週の本棚:『道具と人類史』=戸沢充則・著」、『毎日新聞』2012年07月29日(日)付。

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