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書評:山浦玄嗣『イエスの言葉 ケセン語訳』文藝春秋、2012年。

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山浦玄嗣『イエスの言葉 ケセン語訳』文藝春秋、読了。著者は岩手県気仙沼地方で開業するカトリックの医師。四福音書をギリシア語から日本各地の方言で翻訳(『ケセン語訳新約聖書』イー・ピックス)。本書は、聖書の翻訳で考えたことを、先の震災での経験を踏まえ語ったエッセイ集。

ケセン語とは岩手県気仙沼地方の方言。イエスがケセン語、祭司が京都弁、ローマ人が鹿児島弁。キリスト教の標準日本語翻訳語を使わず、日常語で山浦さんは翻訳。西洋の思想・宗教を「借り物」ではなく、生きるしるべとして受容することの意味考えさせられる。

例えば、「わたしは復活であり、命である」は「この俺(おれ)にァ、人(ひと)ォ立(た)ぢ上(あ)がらせる力(ちから)ァある。活(い)ぎ活(い)ぎど人(ひと)ォ生(い)がす力(ちから)ァある」と訳される。

絶望の淵から立ち上がるというフレーズよりも、人は生きていくしかないというのが現実ではないだろうか。しかし出来合いの言葉や使い古された言い回しで人間は生きるものではない。聖書の訳業と厄災の中で筆者の考えた足跡は普遍的なメッセージである。

キリスト教関係者だけでなく、『ガリラヤのイエシュー』と共に広く読まれてほしい一冊。普遍的なメッセージとは、平板な中央に何か公式としてあるのではなく、辺境とされる地方から烽火として「立ち上がる」ものかもしれない。

池澤直樹さんの書評「本当の心の隣にある聖書」
→ http://hon.bunshun.jp/articles/-/453

東京新聞のインタビュー「方言で耳にすんなり ケセン語訳聖書に情熱燃やす 山浦玄嗣さん」
→ http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/doyou/CK2012010702000174.html

2011年7月23日、山浦玄嗣講演会「東日本大震災とどう向き合うか 被災地から見た3・11」 上智大学100周年記念:
→ http://youtu.be/T3ydN8juOGM

ケセン語訳聖書・バチカン献呈への旅 http://www.epix.co.jp/ebook/vatican/index.html

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受信: 2012年8月 6日 (月) 01時57分

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