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人間を支配することの合法性は、支配者がもはや自分のことはすこしも念頭になく、もっぱらすべての人のしもべとなることにある

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十月八日
 神の秩序にしたがって考えれば、人間を支配することの合法性は、支配者がもはや自分のことはすこしも念頭になく、もっぱらすべての人のしもべとなることにある。これ以外の合法性はことごとく誤りである。また、すべての支配者は、これにしたがって批判されねばならない。
ヒルティ(草間平作・大和邦太郎訳)『眠られぬ夜のために』岩波文庫、1973年、279頁。
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このところ、威勢はいいけれども、結局は尻ぬぐいをしないエライひとだとか、問題を指摘する相手にのみ脊髄反射するけれども、議論が二転三転するエライひとだとか、いわゆる脚光を浴びている政治家連中にそういう御仁が多くなったような気がします。
まあ、「多くなった」というよりも昔から存在はしていたけれども、今日の場合、ニュースで報道されるのもそうした「御仁」ばかりだから、政争報道にのみあけくれ、受けの取れる「絵」と、キャッチコピーににた「弾嘩」のみ切り取り報道するメディアの責任も多いのですが、そんなことを言い出しても始まらないので、「おいおい、またかよ」ではなく、対峙し続けるほかありません。
しかし、選挙で支持を獲得したから「白紙委任だ!」と錯覚する市長閣下、自分できな臭い種を東アジアにばらまいて煽るだけ煽ったあげく、実質としての民力の根こぎをもたらしたことを「屁」とも思わない都知事閣下やその金魚の糞たち……。
その様をみるにつけ、ほんと、民主主義の意義を理解していないなあとは思うばかりです。
スイスの公法学者・ヒルティは“慎ましく”「神の秩序にしたがって」と前置きしましたが、形而下の手続きとして考えても「人間を支配することの合法性は、支配者がもはや自分のことはすこしも念頭になく、もっぱらすべての人のしもべとなること」にありますよね。
そんでもってヒルティのように「支配者がもはや自分のことはすこしも念頭になく」というのは過度の倫理要求とは思うけれども、現実は「自分のことには隙もなく配慮」というのをみると、もっぺん、そうした基礎概念を学びなおしてこい!とは思いますが、そういう手合いに拍手喝采をおくってやまない連中もたた存在するのが現実であるとすれば、そう思うだけでなく、自分自身、法律や法哲学に関する基礎的な知識を習熟しつつ、それを広く自分の関わるひとびとと共有していかなければならないなあと思う次第です。
……ってことで、今月から、憲法をはじめ、自分には割合と縁遠い……というか「倫理学」を担当しているので、その両者の交渉史はやりますが、まあ、「形而上」的ですかね(涙……そのへんのジャンルを勉強し始めました。
学部以来のことですが(文学部出身なので一般教養で履修程度)、学び始めると面白いものですね。
そして、付け加えると、「おいおい、またかよ」って暴言を憚らないひとびとの欺瞞が浮かび上がることに驚きです。
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