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覚え書:「書評:『思想としての法華経』植木雅俊著」、『中外日報』2012年10月23日(火)付。

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『思想としての法華経』
植木雅俊・著
(岩波書店・3150円)
平等や寛容 現代に意義
女性差別批判の再考なども
 著者は独学で仏教学の広大な宇宙に踏み込み、中村元博士との出会いに励まされて地道な研究を継続し、8年がかりで『法華経』のサンスクリット原典からの翻訳を果たした実績を持つ。その成果の上に鳩摩羅什の漢訳と自らの現代語を対照させた『梵漢対照・現代語訳法華経』上・下巻(岩波書店)を出版した苦学の人である。
 本書は、著者が初めて『法華経』を「思想」として読み解いたもの。序章の「『法華経』との出会い」には自らの思索の遍歴や、仏教への関心を深めた契機がつづられており、学問への情熱や生きる姿勢がうかがえる。
 全10章にわたり『法華経』成立の思想的背景、平等の根拠としての一乗などを論じ、また人間信頼の思想、女性差別批判の再考、寛容の思想とセクト主義の超越、『法華経』に反映された科学思想--といった視点から『法華経』の現代的な意義を問うている。
 随所に所論への確信を示す論述が見られる。中でも「善男子・善女子」を多用したことは、大乗教団の在家的性格を示すものとした平川彰博士の説に真っ向から反論し、また「変成男子」を女性への差別とする解釈にも「(法華経は)小乗仏教の女性に対する差別と、時代思潮の制約から完全に自由になっていない限界に対してアンチテーゼを突きつけていた」と反証している。これらがどんな議論を呼ぶかが注目される。
    --覚え書:「書評:『思想としての法華経』植木雅俊著」、『中外日報』2012年10月23日(火)付。
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http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/5/0258570.html
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