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書評:平野伸人編『本島等の思想 原爆・戦争・ヒューマニズム』長崎新聞社、2012年。

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 1988年12月、「昭和天皇に戦争責任はあると思います」と発言し、右翼に銃撃された元長崎市長・本島等さん。本書は本島氏の代表的な論説や講演を収録した思想集大成である。

 本島氏の言動は過激と評される向きもあるが、それは同調社会に一石を投じる魂の挑戦であり、本書は時代の証言録といっても過言ではない。そしてそれは、ヒューマニズムのひとつの実践の軌跡といってよい。


 国連軍縮特別総会での演説の他、原爆に関する突っ込んだ論考(被爆ナショナリズムの解体)のほか、アジアに対する加害責任と謝罪など、戦争と平和の本質を突く氏の主張が幅広く収録されている(36編)。

 五島列島の寒村に非嫡出児として生まれ、カトリック差別と貧困に苦しんだ少年時代の思い出も克明に記されている。本島氏の足跡を理解する上でも、本書は貴重な資料となっている。

 本島さんはことし90歳にして健在であるという。総右傾化する現在、時勢を撃つ本書の出版は意義深い。

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