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書評:吉原毅『信用金庫の力 人をつなぐ、地域を守る』岩波ブックレット、2012年。

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脱原発宣言で注目を集める城南信用金庫・理事長によるお金の話。人を生かし殺すお金。その弊害にどう対抗するか--。信用金庫は「小さな銀行」ではない。社会協同という崇高な理念が存在する。本書は副題の通り「人をつなぐ、地域を守る」歩みの回顧と展望の書である。

まずはじめに太古から現代に至る「お金」の歴史を概観し、「人類の歴史は、お金との戦いの歴史」と筆者は指摘する。それは人間を分断する「麻薬」との戦いである。麻薬の分断にどう立ち向かうか。「健全なコミュニティがあってこそ、健全なお金が流れる」。

上場株式会社のあり方を疑問視したA・スミス。銀行に対抗するために公益事業を目的とした「金融機関」としての信用金庫の歴史等々(「貸すも親切、貸さぬも親切」)……。本書は優れた社会思想史であり、協同組合事業の歴史を活写する一書でもある。

終章は「原発に頼らない社会に向けて」。「お金の弊害を防ぎ、人、地域を守るのが信用金庫の使命」。城南信金の取り組む「脱原発」の実践が、信金の意義や役割に誠実であることの現れであることが理解できる。短著ながら、幅広く手にとって欲しい。


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