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書評:秋尾沙戸子『スウィング・ジャパン 日系米軍兵ジミー・アラキと占領の記憶』新潮社、2012年。

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本書は日系アメリカ人ジェームズ・T・アラキの評伝。太平洋戦争で強制収容された一人であり、陸軍情報部日本語学校の教官。惜しまれつつ除隊し、戦後日本にビ・バップを伝えたJAZZ奏者(ジミー荒木)。そして古典学者の顔も持つ。驚いた。

有刺鉄線を経て合衆国に忠誠を誓い陸軍へ。敗戦による来日後、昼は連合国翻訳通訳部、夜はジャズメンとなる。日本人ミュージシャンたちは、フレンドリーなアラキを敬愛した。軍でのエリートコースも保障され、高名な楽団からの誘いもあったが、別の道を選ぶ。

アラキが選んだのはUCLAバークレー校で日本中世文学を学ぶ道だったのである。信長で有名な幸若舞をおいかけ、研究は能、文楽、芭蕉へ広がる。井上靖の作品の英訳も手がけている。研究で何度も来日する姿は、自身を探る旅でもあったのではないか。

筆者は、日米のゆかりの地に足を運び取材を重ね、資料を丁寧に発掘している。本書は一人の北米移民の軌跡から現代史を複眼的に捉えた秀逸な一冊である。筆者の前著『ワシントンハイツ GHQが東京に刻んだ戦後』(新潮社)と併せて読みたい。了。


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