« 仏教哲学で初めて“ブッダ”とカタカナで書かれた中村元博士 | トップページ | 覚え書:「みんなの広場 不可解な自民党幹事長の発言」、『毎日新聞』2012年12月09日(日)付。 »

覚え書:「今週の本棚:2012年「この3冊」/上 ◇鹿島茂(明治大教授・仏文学)」、『毎日新聞』2012年12月09日(日)付。

201


-----

今週の本棚:2012年「この3冊」/上(その1)
毎日新聞 2012年12月09日 東京朝刊

◇鹿島茂(明治大教授・仏文学)

 <1>世界文明史の試み--神話と舞踊=山崎正和著(中央公論新社・3360円)

 <2>トクヴィルの憂鬱=高山裕二著(白水社・2730円)

 <3>ジャン=ジャック・ルソー=永見文雄著(勁草書房・7770円)

 今年一年の最大の事件は、NHKテレビ出演が契機となって『パンセ抄』というかたちでパスカルの翻訳を出したことだが、そうなると、まるで磁石に吸い寄せられたように読む本もパスカル中心の軌道を回ることになる。

 <1>は「する」身体と「ある」身体の二元論から出発して、人間の根源的欲動である社交の本質を「ある」身体に内在する不安に求めたユニークな文明論。<2>は民主主義とは何かを探っていくうちにパスカル的想念に至ったトクヴィルの出発点がロマン的魂にあったことを突き止めた伝記的研究。<3>はパスカルとの対比でルソーを理解しようとした好著。すべては気晴らしであるゆえ、人間は神にすがるしかないとするパスカルに対し、ルソーは人間の不幸を招く原因である非充足性こそが人間の条件を乗り越える道でもあると説く。
    --「今週の本棚:2012年「この3冊」/上 ◇鹿島茂(明治大教授・仏文学)」、『毎日新聞』2012年12月09日(日)付。

-----


http://mainichi.jp/feature/news/20121209ddm015070010000c.html

http://mainichi.jp/feature/news/20121209ddm015070183000c.html


202


203


|

« 仏教哲学で初めて“ブッダ”とカタカナで書かれた中村元博士 | トップページ | 覚え書:「みんなの広場 不可解な自民党幹事長の発言」、『毎日新聞』2012年12月09日(日)付。 »

覚え書」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 覚え書:「今週の本棚:2012年「この3冊」/上 ◇鹿島茂(明治大教授・仏文学)」、『毎日新聞』2012年12月09日(日)付。:

« 仏教哲学で初めて“ブッダ”とカタカナで書かれた中村元博士 | トップページ | 覚え書:「みんなの広場 不可解な自民党幹事長の発言」、『毎日新聞』2012年12月09日(日)付。 »