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覚え書:「今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。


覚え書:「今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。


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今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著
(平凡社・2100円)

 「作品をどう解釈するかは、読者次第。作者の手を離れているのだから」などと文学の世界ではよく言う。絵画も、さまざまな決まりのもとに描かれていたとしても、基本的には自由に楽しむものだ。いや、楽しむことのできる者が勝ちだ。一枚の絵に没入する喜びが本書にはある。
 「絵画は、一回きりの網膜の事件である」と言う。心をとらえた絵や突然の出会いがもたらす感動について語るのだが、ときには絵という視覚イメージから、文体そのものを想起しているのが面白い。例えば、画面の上下左右に水平線や字面が同時に存在する素朴派の画家、アルフレッド・ウォリス。ここで触れるのは山下清だ。「山下清の文章は超現在進行形だ。今、今、今というふうに現在が連なっている。(中略)山下清もぐるぐると紙を回しているのである」という具合に。
 このほか熊谷守一や黒澤明の絵コンテ、水越松南という南画系画家など興味の対象は貪欲に広がる。貝原浩は高い放射線量の中で暮らすベラルーシの婆さまや、森の中のパーティー、子どもたちを育てる母の絵を描いた。「光まみれの明るい恐怖図絵」という評にどきりとする。(咲)
    --「今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。

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