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覚え書:「そこが聞きたい 低成長20年の反動=ジョゼフ・ナイ」、『毎日新聞』2013年01月14日(月)付。

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そこが聞きたい
ジョセフ・ナイ(75)

低成長20年間の反動

 尖閣諸島や竹島の領有権問題を引き金に日本のナショナリズムが勢いづく。海外でも日本の右傾化論争が盛んだ。米ハーバード大のジョセフ・ナイ教授は日本のナショナリズムを「弱さの表れ」と指摘し、警鐘を鳴らしている。【聞き手・ワシントン古本陽荘、写真も】

右傾化する日本
 --右傾化する日本に、いち早く懸念を表明されましたよね。
 ◆一九三〇年代のように軍部と結びついたナショナリズムが日本に芽生えているとは思わない。軍国主義や侵略主義といった傾向はみられない。しかし、ナショナリズムというのは、よくない事が続いた後に、その反動として強まることがある。日本では20年以上にわたり低成長が続いた。日本のナショナリズムはその反動で起きている面がある。30年代は(過剰な自信から)侵略主義が強まったが、今のナショナリズムは、日本人が自信を失ったことからきている。
 --自信を失っているとは、どういうことですか。
 ◆「つらい時代を迎えている」「日本が不当に扱われている」という感情から生まれている。自信を取り戻したら、再び日本はうまくやっていくのだろう。そのためには経済成長率を高めていくことが有益だ。
 --そもそもナショナリズムはいけないものですか。
 ◆一定程度のナショナリズムには利点がある。どの国家もある程度のナショナリズムを保持すべきだ。国家としてのまとまりをもたらすからだ。だが、過剰なナショナリズムは危険だ。例えば、選挙で当選するために「尖閣諸島(沖縄県)に兵を置く」と主張した政治家が当選してしまうようでは、それは不健全なナショナリズムと言っていいだろう。一方で、「日本は安定した大国であり、挑発的な行動を取る必要はない」と訴えるのなら、そのナショナリズムは健全と言えよう。
 --安倍晋三首相も、選挙中、ナショナリズムに訴えるような主張もしていました。
 ◆就任して間もないので断定的には言えないが、これまでのところ合理的な対応をしているように見える。第1次安部内閣では就任前の主張と、就任後の行動は必ずしも一致しなかった。(現実的な対応をした結果で)これは責任を持って政治を行っていることの証左だ。今回も、楽観的になっていいのではないかと感じている。具体的にどう行動するか見極めたい。
 --衆院選の結果をどうみていますか。
 ◆自民党と公明党の連立政権は圧倒的な議席を得た。これは日本にとって良いことだ。頻繁な政権交代に終わりを告げ、日本に自信を与える可能性がある。極端な右派勢力も大きな支持は受けなかった。私が話した日本の複数の国会議員は、政界再編の可能性も語った。さらに強い政府になるかもしれない。

まずは経済成長を
 --日本は何をすべきだと思いますか。
 ◆まずは経済成長だ。安部首相もそうした主張をしている。正しい判断だ。成長率が上昇すれば変化が出てくるだろう。楽観的な雰囲気を作ることになる。日本の人々が自信を持ち、その結果、もっと健全なナショナリズムが出てくるだろう。
 --ナショナリズムが高まったまま、経済成長に失敗した場合はどうなりますか。
 ◆日本は「被害者だ」という意識が高まり、さらに内向きになる可能性があるので危険だ。周辺国との関係が悪化するだろう。世界が日本にやってもらいたいと望むようには日本が貢献しなくなる懸念も生じる。世界で第3位の経済力を持ち、能力のある人や産業がある。日本が内向きになり、世界に貢献することをやめれば、それは日本にとっても世界にとっても不利益だ。
 --日本は衰退局面にあるという主張も目にします。
 ◆確かに成長率は伸び悩んでいる。だが、それでも日本は快適で、成功した社会なのだ。中国がどんなに成長しても日本に住みたいという人がいる。空気の汚染や食品の安全何度を気にする人にとっては、中国よりも日本の方がはるかに優れているからだ。日本は、私やアーミテージ元国務副長官が報告書(第3次アーミテージ報告書)で「1級国」と位置づけた国の一つだ。大きな役割を担う高い能力をもった国家という意味だ。日本は今でもその分類にある。問題は、これからも、そうした高い能力を行使する国家であり続けるかどうかだ。
 --日本にどれだけ時間が残されているでしょうか。
 ◆安部首相が経済成長を軌道に乗せることができれば、時間はかなりあるはずだ。日本には、人口減少の問題があるが、これは女性の社会進出と一定の移民を受け入れることで対応できるだろう。私は、東日本大震災が、明治維新や戦後復興のように、日本に大変化をもたらすと考えていた。これまでそうなっていないことに驚いている。

ことば 第3次アーミテージ報告 ナイ、アーミテージ両氏が中心になってまとめた対日政策提言書。00年、07年に続いて昨年発表された。日本は1級国(tier-one nation)から2級国(tier-two nation)に脱落する瀬戸際とし、エネルギーや安保政策で国際的に責任ある行動を取るよう求めた。

Joseph Samuel Nye,Jr.1937年、米東部ニュージャージー州生まれ。プリンストン大卒後、ハーバード大で政治学博士号を取得。同大で教壇に立つ一方、国務次官補代理、国防次官補など政府の要職も歴任した。著作には「スマート・パワー」など。
    --「そこが聞きたい 低成長20年の反動=ジョゼフ・ナイ」、『毎日新聞』2013年01月14日(月)付。

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アメリカの望む「日本」のテンプレ集みたいですが、いちおう、覚え書として残しておきます。これが「スマート・パワー」か!!!

http://mainichi.jp/select/news/20130114ddm004070002000c.html

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