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文化による単純な一般化は、人びとの考えを固定化するうえできわめて効果を発揮する

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 世界の人びとは--おそらく必要以上に断固として--文化は重要だという結論に達している。世界の人びとは明らかに正しい。文化はたしかに重要だ。しかし、本当に問われるべき問題は、「文化はどのように重要なのか?」なのである。前の二つの章で論じたように、文化を分明や宗教的アイデンティティごとに歴然と分割された枠内に制限して考えることは、文化の属性を狭くとらえすぎている。たとえば、国民、民族、人種などの集団についても、文化ごとにそれを一般化すると、そこに含まれた人間の特性を驚くほど限定的かつ冷淡に理解するはめになるだろう。文化と意はなにかはっきり理解しないまま、文化の支配的な力を運命だと受け止めているとき、われわれは実際には、幻想の影響力に囚われた空想上の奴隷になることを求められているのだ。
 ところが、文化による単純な一般化は、人びとの考えを固定化するうえできわめて効果を発揮する。そのような一般化が通説や日常会話のなかに多々見られるという事実は、容易に見てとれる。暗黙のゆがんだ思い込みは、人種差別的な冗談や民族批判の種として頻繁に見られるだけでなく、壮大な理論として登場する場合もある。文化的偏見に関連する事例が、社会のなかで(たとえ些細なことでも)偶然に見られれば、そこから理論が生まれ、偶然の相関が跡形もなく消えたあとでも、その理論は葬り去られずに残るかも知れない。
    --アマルティア・セン(大門毅編集、東郷えりか訳)『アイデンティティと暴力 運命は幻想である』勁草書房、2011年、148-149頁。

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twのまとめですが、一応、残しておこうと思います。

時間があったので久しぶりに戦争映画を見ました(『血と砂』、岡本喜八監督、東宝、1965)。

三船敏郎さんの怪演と、それに充分うち応えている仲代達矢さんの怜悧な演技に驚いた作品でした。

さて、私は戦争映画をよく見ます。しかし、そのことをもってして、イコール「戦争が大好きな吉外」みたいに思われても困る。

そういう単純な還元主義は、一見心理主義を装いながら、実際には、全く科学的な知見に基づかない単純化の論理ではないかと思う。これは、例えば「ゲームのやりすぎは犯罪者乙」というのと五十歩百歩でしょう。

しかし、そういう手合いが最近多くて辛い。


「ゲームのやり杉は犯罪者」とか「戦争に“関連する”ものが“趣味”な人間は死ね」っていうスマート爆弾の方が、大政翼賛の国防婦人会予備軍なのではないだろうか。

“嗜好性”を“志向性”と錯覚するなという話だし、ほっといてくれとは思う。

ゲーテが早漏だったから、創作が爆発したというのもナンセンス。心理的還元主義は、ほとんど場合、有効ではない。

そもそも、ひとつの理論で全てを説明しようとするのが、“暴挙”なのではないでしょうか……ねぇ。


ついでにこのニュースで紹介されている取り組みもたいがいですん。

http://www.nytimes.com/2012/12/25/science/scientists-to-seek-clues-to-violence-in-genome-of-gunman-in-newtown-conn.html?_r=2&


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