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「だから何なんだ」と問い続けること

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「自分で考える」ということ
 そんな失意の中、七一年の春休みに帰省し、知人が持っていた一冊の本『自分で考えるということ』(澤瀉久敬著、角川文庫)のタイトルに惹かれた。一晩借りて読了した。「自分で考える」ことの手ほどきを手取り、足取りといっていいほどに、懇切丁寧に、順を追って、ものごとを整理しながら、解きほぐすように語ってくれていた。明晰な書は、読者に自分の頭がよくなったかのような錯覚をもたらすものだが、私は、この本を読みながら、頭の中が整理され、著者とともに順を追って思考している思いがした。その感動を知人に語ると、喜んでその本を私にくださった。心にのこる一冊となった(『科学者の本棚』岩波書店、五五~五九頁参照)。
 その本は、デカルトの「理性」に基づく「順序」と「方法」に則って考えることについて詳述していた。すなわち、「多くの問題がいつまでも解決できぬのは、与えられている問題を、そのままで解こうとするから」で、「複雑な問題を、そのままで、全体として解こうとしても、それは無理な話」であり、「全体を部分に分けて、一つ一つ解きほぐさねばならぬ」と述べ、「特に東洋人は--『全体』ということが好きで、『全体を全体のままで』ということをむしろ重んじさえする」が、「それではいけない。複雑なものを単純なものに還元せねばならぬ」と忠告していた。
 「理性の方法はこれだけではない。分けられた要求を、次に、一つ一つ、徐徐に、段々と、積み重ねてゆくことが必要である」「絵の上達を願うものは、まず一本の線を美しく描くことを学ばねばならぬ。一人前の大工になるには、幾年もただ板をけずることだけを習わねばならぬのである」「その前進にあたっては跳躍を試みてはならない。地上から一挙に屋根に飛び上がるようなまねをしてはならない」「理性に従う者は階段を一段一段と登らねばならぬ」「理性は跳躍をゆるさない」「分析と綜合こそ理性的人間の辿らねばならぬ道なのである」とも教訓していた。
 その本を何度も繰り返し読んで、与えられたものを受動的に受け入れるのみであったことを根底から反省した。素朴な問いを大事にし、自分が納得することを重視した。単純なことに始まり、一つひとつ自分で納得することを積み重ねた。自分が納得しなければ先へは進まない。不確かな「知」を足がかりとせずに、必ず納得するまで調べて、その上で先に進むという方法をとった。ものごとを理解するためには、与えられたものを鵜呑みにするのではなく、「だから何なんだ」と問い続けることが大事だと思うようになった。どんなに有名な先生に主張に対しても、同じ態度を貫いた。
    --植木雅俊『思想としての法華経』岩波書店、2012年、4-5頁。

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24日は、後期の哲学の定期試験。試験終了日のためか、大学構内の学生の数も少なく、4時間目に、全員参加で無事終了しました。

履修された皆様、15回の授業、レポートの作成、そして定期試験、お疲れさまでした。

最後の授業でもいいましたが、結局のところ、教室の中でまなんだもの「だけ」、テクストにかかれていること「だけ」が、哲学ではありません。

皆様の日常生活のなかで、どれだけ「気がつく」ことができるのかが、哲学なんだと思います。

15回の授業も、レポートの作成も、そして定期試験への取り組みは、本質ではなく、むしろ、その一つのリハーサルであったと思います。

試験が済んで、これから春休みになるかと思いますが、むしろ、そこでひとりひとりが自分自身の生活へ還っていくなかで、哲学という学問は立ち上がってくるものだと思います。

生-権力による馴化も同じです。学問もおなじです。「そういうものだよ」「考えるに値しない」ではなく、「与えられたものを鵜呑みにするのではなく、『だから何なんだ』と問い続けることが大事だ」と思います。

「だから何なんだ」

常にそう心がけるなかで、学問を深め、人間性を涵養していってほしいと思います。

皆様、ほんとうにありがとうございました。

……って、こちらは今度は、レポートの内容確認と採点ですね・・・・orz

orzとなってしまってもイタシカタありませんので、昨日は、試験が済んでから、勉強会の仲間達と、遅くなりましたが、新年会。

こちらもご参集されました皆様方、ありがとうございました。

こちらでも同じですが、おたがいに「だから何なんだ」でいきましょう!!!

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