覚え書:「今週の本棚:スウェーデン 高齢者福祉改革の原点=イーヴァル・ロー=ヨハンソン・著」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。
-----
今週の本棚:スウェーデン 高齢者福祉改革の原点
イーヴァル・ロー=ヨハンソン・著
(新評論・2940円)
スウェーデンの老人ホームの現状を批判した、有名なヨハンソンの古典的な本『スウェーデンの高齢者』(一九五二年)がはじめて邦訳され、同じ著者の『老い』(一九四九年)のなかの写真も一部が収められている。
これを読むと出版当時の事情がわかる。出生率の低下によって人口構成が変わり、老人一人を支える働く人の数が少なくなったのである。と同時に「老人ホーム」が救貧院時代の考えから完全に脱却していない時でもあった。西欧版姥棄山が、かつてあったことに驚く人もいよう。
くり返し批判sれているのは、老人ホームに精神異常者、慢性疾患者が多数入居していることである。ヨハンソンは、高齢者が今までのように、できるだけ社会とのかかわりを持ち続ける生活を、社会が支えるべきであると考えていた。今日のノーマライゼーションの先駆である。
ヨハンソンは施設充実中心主義を批判しているが、この本にはアルツハイマー病の問題がない。日本では良い施設の充実も急務であろう。今日のスウェーデンは、ヨハンソンの批判を受けてから大きく変わっている。それを詳しく解説で書いてほしかった。 =西下彰俊ほか編訳(鷺)
--「今週の本棚:スウェーデン 高齢者福祉改革の原点=イーヴァル・ロー=ヨハンソン・著」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。
-----
新評論
売り上げランキング: 12,572
| 固定リンク
« 覚え書:「ニュースの匠:体罰問題で入試中止=鳥越俊太郎」、「大阪・高2自殺:桑田さん『恐怖心では根性育たぬ』 大阪・教職員向けに研修」、『毎日新聞』 | トップページ | 書評:水島治郎『反転する福祉社会 オランダモデルの光と影』岩波書店、2012年。 »
「覚え書」カテゴリの記事
- 覚え書:「あの人に迫る:六車由実 介護民俗学者 人生の豊かさを聞き書きで知る」、『東京新聞』2015年03月22日(日)付。(2015.04.03)
- 覚え書:「野坂昭如の『七転び八起き』 第200回『思考停止』70年 命の危機 敗戦から学べ」、『毎日新聞』2015年03月24日(火)付。(2015.04.01)
- 覚え書:「特集ワイド:続報真相 戦意発揚スローガン『八紘一宇』国会発言 問題視されない怖さ」、『毎日新聞』2015年03月27日(金)付夕刊。(2015.03.30)
- 覚え書:「松尾貴史のちょっと違和感 『八紘一宇』持ち上げる与党銀 言葉のチョイスは生命線では」、『毎日新聞』2015年03月22日(日)付日曜版(日曜くらぶ)。(2015.03.28)
- 覚え書:「こちら特報部 侵略戦争を正当化 八紘一宇国会質問」、『東京新聞』2015年03月19日(土)付。(2015.03.22)
コメント