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覚え書:「書評:『「加藤周一」という生き方』 鷲巣力著」、『読売新聞』2013年02月10日(日)付。


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『「加藤周一」という生き方』 鷲巣力著

評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授)

 文系と理系の最先端の知に通じ、古今東西の古典を渉猟し、英仏独語を母国語のように自在に操り、サルトルら世界の第一線の知識人たちと対等に渡り歩き、欧米の名門大学で教鞭をとり、最晩年まで精力的に著作活動を展開し、左派・右派を問わず数々の論客と論陣を張り、不屈の批判精神を貫いた加藤周一。

 この不世出の「知の巨匠」がいかに誕生し、スケールの大きい思想と行動がいかに形成されたのか。その著作のみならず、加藤が17歳の時から書きつづったという膨大な量の「ノート」を駆使して、本書はその過程をダイナミックに辿る。早熟ぶりを示す初々しい10代の詩から、医学研究のためのパリ大学への留学、恋愛、戦中の逡巡、「知識人の責任」をめぐる論戦など、話題は多岐に及ぶ。加藤の「生き方」の根底にあるのが、諧謔と風刺、遊び心と独特の美意識だという指摘も新鮮に響く。加藤への敬愛の念がじわじわと伝わる。

 実学志向のなか「教養」の意義が軽んじられる今日、真の「自由学芸(リベラル・アーツ)」の精神を生き抜いた加藤周一に学ぶべきものは大きい。(筑摩書房、1700円)
    --「書評:『「加藤周一」という生き方』 鷲巣力著」、『読売新聞』2013年02月10日(日)付。

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http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20130213-OYT8T00955.htm

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