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覚え書:「今週の本棚:ふたつの講演 戦後思想の射程について=加藤典洋・著」、『毎日新聞』2013年02月17日(日)付。


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今週の本棚:ふたつの講演 戦後思想の射程について
加藤典洋著

(岩波書店・1785円)

 書名の通り、著者が昨年3月と5月におこなった二つの講演(ただし、一方は2日にわたるもの)の記録を中心に編まれた本。こういうと軽い本のようだが、内容にはずっしりとした重さがある。著者の問題意識は、日本の戦後思想と、「3・11」以後に明らかになってきた21世紀世界の思想的課題を貫くところにあり、そのエッセンスが平易に、しかし真正面から語られているからだ。
 ウルリヒ・ベックの「リスク近代」、見田宗介の「有限性」という二人の社会学者の考え方をヒントに、著者は未来構想を探っていくが、足がかりとしたのは、自身の『敗戦後論』における思想的格闘である。
 戦後50年の1995年に最初の論文が論争を呼んだ『敗戦後論』で著者は、「持国の戦争の死者」に、「過去とのつながり」をもつための「固有の存在」を見いだした。一方、放射能汚染された地に生まれてくる「福島の子どもたち」に対し、著者は「自分は有責である」と感じ、そのような関係の「固有性」が「未来とのつながり」を考えさせると書く。
 現在を基点に、ねばり強く過去と未来を意味づけていく真摯な思考が、読者を揺さぶる。(壱)
    --「今週の本棚:ふたつの講演 戦後思想の射程について=加藤典洋・著」、『毎日新聞』2013年02月17日(日)付。

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