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私たちが「自明である」とか「それが自然なんだ」と考える規範というのは、太古から連綿するのではなく創造されたもの


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山極寿一『家族進化論』東京大学出版会、読了。霊長類研究の第一人者が霊長類の社会における「家族」の萌芽について様々な側面から論じた一冊。人類が「家族」を創造するきっかけになったのは多産。そして共感能力(歌と身振り)が共同体を形成した。自然科学の知見が現代を鋭利に写す一冊だから驚く。


次は、山際寿一『暴力はどこからきたか―人間性の起源を探る』(NHK出版)を読んでみようと思う。

下記は朝日新聞書評(柄谷行人)。

http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011071703960.html

「類人猿のふるまいをみるとき、われわれは励まされる」。

人間は暴力的なのか。動物から学ぶことが多い。

しかし、私も門外漢だからわからないのだけど、こうした自然科学からの「家族」論の成果と、家族社会学における「家族」論の成果が相互に学ばれると、より豊かな議論になっていくのじゃないのかなあ、とは思う次第。

家族というシステムは人間が人間になるとき創造されたものであるとは思うが、その紐帯をめぐる神話は、国民国家の誕生と軌を一にする。結婚して家庭を持ち子どもを育てるのが「みんな」という現象はここ数百年のこと。人口学を紐解けばいいのでしょうが、人口増とも関連してるのでしょうね。

例えば、誰しも結婚して子どもを育てていくと発想しがちですが、国民国家が成立以前は、ひとりで死んでいく人間の割合の方が高かった。そういうことに耳を傾けると、私たちが「自明である」とか「それが自然なんだ」と考える規範というのは、太古から連綿するのではなく創造されたものだと理解できる。

じゃあ、現在の存在する全ての規範は「まやかしに過ぎない、ゴルァ」ってちゃぶ台をひっくり返して「はい終わり」という「簡単なオシゴト」では、それぞれが抱える問題の解決にはならないとも同時に思う。何度も言及してますが、それが「~に過ぎない」という認識から組み立てるしかないのじゃないか。

私は国民国家に所属する○人意識をよく「クレジットカード」に喩えます。創造されたもので実体はないから「クレジットカード」。しかし「現金」と同じ「力」は持っている。そもそも「良い/悪い」というナショナリズム自体が糞とは思うが、過度に寄りかかると破綻はする。国民国家以外でもそうでしょう。

まあ、いまは全否定が大流行だから、こういう議論は、「利敵行為」とやらになるのだろう。しかし、そのひとの信念に真実があるとすれば、「利敵行為」などと批判する必要もないのだろうにとは思ってします。


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