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覚え書:「書評:日本防衛論 グローバル・リスクと国民の選択 中野 剛志 著」、『東京新聞』2013年2月24日(日)付。

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日本防衛論 グローバル・リスクと国民の選択 中野 剛志 著

2013年2月24日

◆杞憂でない危機の攻略法
[評者] 前泊 博盛  沖縄国際大教授。著書に『沖縄と米軍基地』など。

 気鋭の若手評論家がジャーナリスティックな手法も交えながら難攻不落のグローバル経済危機を解析し、攻略法と日本の防衛策を提示している。
 いま世界は、深刻な所得格差、財政不均衡、温室効果ガスの発生、サイバー攻撃、水資源不足という「五つのグローバル・リスク」を抱えている、という。さらに、実際に起きた場合に被害が大きいリスクとして、システミックな金融危機、水資源不足、食糧不足、財政不均衡、エネルギーと食糧価格の極端な変動を挙げる。
 ブラックマンデー、リーマン・ショックやユーロ危機など、これまでのグローバル・リスクの事例について、リスク研究の大家や経済学者の予測や理論を基に実証的に分析を試みている。
 借金によって手元資金を膨らませて投資を行う「レバレッジ」の拡大が現代資本主義経済の特徴と著者はみる。このため、わずかな利益変動で売り急ぐ「デレバレッジ」に陥り、資産価格の暴落、金融市場のパニック化を招く。ミンスキーの「金融不安定性仮説」を基に、そんな「本質的に不安定な経済システム」の中にある現在のグローバル資本主義経済の脆弱(ぜいじゃく)性を突く。
 著者が描く最悪のシナリオが杞憂(きゆう)ではなさそうなあたりが本書の読みどころである。もちろん、その危機の回避策、対処策も織り込んでいる。政府による総合安全保障戦略の構築と実現のための長期的な計画の策定。公共事業投資の促進による打たれ強い強靱(きょうじん)な国土形成、内需拡大による経済基盤の強化は、アベノミクスとも重なる。
 経済に加え軍事的にも高まる中国リスク。一方で米国による覇権国家システムが崩壊し「もはや中国に対抗する能力も意志も失いつつあるアメリカに日本を守ることはできない」として、著者は自主防衛・反撃力の強化も要求している。その点は厄介だが、「祖国を守る一助」にとの真摯(しんし)な姿勢を踏まえ、読者の多事争論を期待したい。
なかの・たけし
 1971年生まれ。評論家。著書に『TPP亡国論』『日本思想史新論』など。
(角川SSC新書 ・ 840円)
<もう1冊> 
 本山美彦著『金融権力-グローバル経済とリスク・ビジネス』(岩波新書)。リスク転売ビジネスの性格を強める金融の問題を問う。
    --「書評:日本防衛論 グローバル・リスクと国民の選択 中野 剛志 著」、『東京新聞』2013年2月24日(日)付。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013022402000171.html


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日本防衛論  角川SSC新書  グローバル・リスクと国民の選択
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