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ちがっているということと反対であるということがたえず混同される

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 日本ではちがっているということと反対であるということがたえず混同されるでしょう。たとえばノン・コミュニストという範疇がなくて、同伴者か然らずんば反共というふうに区別する。これが組織論に現われると丸抱え主義になり、既存のものとちがった組織をつくるとすぐ反対組織として受取られる。ちがった者同士が共通の目標のために組んで行くという発想をもっとひろげないと駄目です。
    --丸山眞男「対談 現代における革命の論理」、井汲卓一編『講座・現代のイデオロギー』第一巻、三一書房、一九六一年、232頁(『丸山眞男座談 4 1960-1961』岩波書店、1998年所収)。

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意見が異なることが、すなわち、自分自身の「敵」となることは必然なのだろうか--。丸山眞男はそうした脊髄反射を慎重に退けるべきと提言する。

そもそも、同じ意見に属する人間であったとしても、人間が一人一人の独自の世界を持ち、相互に異なっていることは明らかである。だとすれば、そうした自覚にたった上で、違ったもの同士が組んでいくという覚悟からはじめるほかない。

その自覚と覚悟によって、多様な組み立てが可能になるのであり、自己と他者の緊張関係が有機的に昨日する。相互の異質性の自覚を欠いたまま、共同体的な収斂の立場を優先させるのでも、そして同時に、異質なものとして排除する純血主義でもない、「連帯」としての「共同・協同行動」が必要なのではあるまいか。

20世紀とは、「同伴者か然らずんば反共か」という二者択一的脊髄反射の悲劇の繰り返しであったのではあるまいか。

見解の違いは明らかにすべきであるし、問題は探求されてしかるべきだ。そうした作業を割愛した連帯は、うまく機能するわけがない。しかしながら、異なっていることを認めないのは、それ以上に問題であろう。


しかし、ながら人間は、いまだにおなじ分断主義をとり続けているように思う。


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