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書評:山田邦男『フランクルとの〈対話〉 苦境を生きる哲学』春秋社、2013年。


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山田邦男『フランクルとの〈対話〉 苦境を生きる哲学』春秋社、読了。NHK・Eテレ「こころの時代」の放送を元に、名著『夜と霧』で有名なヴィクトール・E・フランクルを読み直す最新の入門書。震災以降注目を浴びるフランクルは「今、何を語りえるのか」。ニヒリズムと生きる意味を問い直す。

フランクルの思想をナチ告発の一書と認識すればそれは矮小化となってしまう。フランクルは生涯を通して自らの実存的苦悩と対決しつつ、時代そのものの苦悩とも対峙し続けた。その意味で、フランクルの哲学とは「苦境を生きる哲学」であると著者はいう。

人生の無常さは人間を無意味化するのが必然であるからこそ「人生の意味」を問うべく運命づけられているのが人間である。しかし大切なのは「人生の意味を問うべきなのではなく、われわれ自身が問われているものである」ことを自覚することだろう。

フランクルの思想は分かり易い。しかし幾重もの入れ子構造が読者の理解を阻むのも事実である。本書は半世紀をかけてフランクルを読み続けた著者自身の「旅の記録」である。生きる希望と勇気をどこから立ち上げるのか。著者の軌跡はヒントに満ちている。

真理の場所としての〈今・ここ〉 「自分が今・ここで何をなすかということが非常に根本的なことになってくるということですね。それが結局、フランクルが〈コペルニクス的転回〉ということで本当に言おうとしたことではないかと」。


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