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覚え書:「今週の本棚・新刊:『理想だらけの戦時下日本』=井上寿一・著」、『毎日新聞』2013年03月31日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『理想だらけの戦時下日本』=井上寿一・著
毎日新聞 2013年03月31日 東京朝刊

 (ちくま新書・882円)

 戦前、戦中の時代状況を猛烈な勢いで書き続けている著者の今年度4冊目となる単著。「国民精神総動員運動」、略して精動運動の通史である。精動運動は、日中戦争が始まった1937年から40年まで続いた、戦争動員のための官製運動だ。

 著者は、当時と現代の国民意識が似ているとする。30年代は、投票率の下がる現代同様、代表民主制への懐疑が強かった。復古的な「家族」主義からリベラルな「新しい公共」まで昨今の強い共同体指向は、精動運動にもあった。精動運動には格差是正を求める面もあった。「勤労奉仕」という名の学生ボランティアなど、運動の具体的内容も今に通じる。他方、当時の国民は、全力で精動運動に没入したとも言い難い。運動関係のイベントは、集客のため漫画の主人公の紙芝居を上演した。「聖戦」の意義を確認する「興亜奉公日」には、温泉地がにぎわった。

 ともあれ、当時の国民一般は、共同体、平等指向の運動が盛んで、その運動からの抜け道もある自分たちの社会を「ファシズム」と呼ばれても反発したただろうと本書は見る。さて、「右傾化」が叫ばれる現代の日本は、どうだろうか?(生)
    --「今週の本棚・新刊:『理想だらけの戦時下日本』=井上寿一・著」、『毎日新聞』2013年03月31日(日)付。

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http://mainichi.jp/feature/news/20130331ddm015070020000c.html


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