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覚え書:「今週の本棚・新刊:『虚構内存在』=藤田直哉・著」、『毎日新聞』2013年04月07日(日)付。


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今週の本棚・新刊:『虚構内存在』=藤田直哉・著
毎日新聞 2013年04月07日 東京朝刊

 (作品社・2520円)

 2000年代に「若手論壇」と呼ばれた一連の動きに影響された、より若い世代による長編評論。著者初の単著で、SF作家の大御所、筒井康隆を論じた。「若手論壇」には、反貧困などで現実の政治について発言する、いわば左翼的な系譜と、情報環境やオタク文化など虚構性が強い分野を論じる流れとの二つがあった。両者を止揚する論理を編もうというのが本書の狙い。そこで、筒井が1970年代から主張してきた「超虚構理論」などに注目する。

 現代の人間は、ほとんどの現実を直接の身体感覚ではなく、メディアを通した情報、つまり虚構の形で受け取っている。たとえば、メディアで知った政治や戦争の情報を、現実として理解する。そして、インターネットなど虚構の世界で自己を表現し、他者と交流する。つまり、現実と虚構の境界は、もはやあいまいだ。だから、現実と虚構の区別を付けられるところは付けつつ、後者にも前者並みの対応ができる世界の見方を構築すべしと主張している。

 反貧困や脱原発の街頭での運動形態にも、ネットを万能視した昨今の社会運動論や民主主義論にも違和感を覚える人に、特にお勧めだ。(生)
    --「今週の本棚・新刊:『虚構内存在』=藤田直哉・著」、『毎日新聞』2013年04月07日(日)付。

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http://mainichi.jp/feature/news/20130407ddm015070024000c.html

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虚構内存在――筒井康隆と〈新しい《生》の次元〉
藤田 直哉
作品社
売り上げランキング: 15,464

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