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覚え書:「書評:謎の独立国家ソマリランド 高野秀行著」、『東京新聞』2013年4月7日(日)付。

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謎の独立国家ソマリランド 高野 秀行 著

2013年4月7日

◆戦争止めるシステム
[評者] 桜木 奈央子 フォトグラファー。著書『かぼちゃの下で』など。
 戦争を終わらせることは、とても難しい。政府や国際社会が介入してもうまくいかないことが多いのが現実だ。
 しかし、独自に和平の道を歩んだ国がある。それはアフリカのソマリランド。公式には承認されていないが、事実上「独立国家」として機能している。無政府状態のソマリアの一部でありながら、ソマリランドがどうやって平和を維持しているのか、また「氏族の長老たちが木陰で話し合って戦争を終結させた」のは本当なのか、その「謎」を解く本である。
 取材方法がユニークだ。著者は、現地の嗜好品(しこうひん)である覚醒植物「カート」をソマリ人と一緒に食べ、ともに酔いながら情報を収集。人びとの声に耳を傾け、ソマリの価値観に深く触れていく。
 ソマリ人は元々(もともと)遊牧民である。家畜の略奪など争いごとが頻繁に起こるので、それをやめさせる伝統的な和平システムが既に確立していた。ソマリランドは試行錯誤を重ねながらそのシステムを国家運営まで高め、戦争を終結させたのだ。
 この小さな国はアフリカの、そして世界全体の希望かもしれない。既存の価値観を真似(まね)るのではなく、自分たちのやり方で国を作っている。その「遊牧民的な」国づくりは示唆に富んでいて、創造的だ。アフリカは、新しい生き方のヒントに満ちている。
たかの・ひでゆき 1966年生まれ。ノンフィクション作家。著書『アヘン王国潜入記』など。
 (本の雑誌社・2310円)
◆もう1冊
 瀬谷ルミ子著『職業は武装解除』(朝日新聞出版)。中東やアフリカで武装解除の仕事に携わった著者のエッセー。
    --「書評:謎の独立国家ソマリランド 高野秀行著」、『東京新聞』2013年4月7日(日)付。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013040702000145.html


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高野 秀行
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