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覚え書:「村上春樹さん:京大で公開インタビュー 「物語」とは人の魂の奥底にあるもの ジョーク交え、小説論語る」、『毎日新聞』2013年05月07日(火)付夕刊、ほか。


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村上春樹さん:京大で公開インタビュー 「物語」とは人の魂の奥底にあるもの ジョーク交え、小説論語る
毎日新聞 2013年05月07日 東京夕刊

 6日、京都大学百周年記念ホール(京都市左京区)で公開インタビューに臨んだ村上春樹さん(64)は、チェックの半袖シャツにジャケットをはおり、レンガ色のパンツに青色のスニーカーといういでたち。身ぶり手ぶりを交え、マイク通りのいい声で、河合隼雄さんとの出会いや作品に込めた思いを語った。

 村上さんは、米国滞在中の1993年、プリンストン大客員教授だった河合さんと初めて出会った。「僕は当時、河合先生のことをほとんど知らなかったが、家内が先生のファンで、彼女に勧められたのが会うきっかけだった」。それ以来、懇意にしてきた経緯を紹介し、「僕が、『○○先生』という呼び方をするのは河合先生だけ。先生には、河合隼雄という生身の人間と、社会的役割を担った心理学者の顔があったが、僕には最期まで先生の顔で接していた」と振り返った。

 村上さんはまた、自らの小説の要に置いている「物語」の意味について熱を込めて語った。「『物語』とは、人の魂の奥底にあるもの。心の一番深い場所にあるからこそ人と人を根本でつなぎ合わせることができる」。そして「小説を書く時は深い場所に降りていく。先生もクライアント(患者)と向き合う時は、きっと魂の奥底に降りていったと思う。僕のイメージする『物語』を真の意味で正確に受け止めてくれたのは河合先生以外にはいなかった」。

 ファンから事前に寄せられた「ランニングは続けるか」「演奏したい楽器は」などのアンケートには、「85歳になってもフルマラソンできるような身体づくりをしていきたい」「今もピアノで、好きな曲の和音探しをすることがある」などと丁寧に答えていた。【有本忠浩】

 ◇「技術的な話が興味深かった」

 全国から集まった聴衆の興奮に応えるように、開場は一般的な講演会などよりかなり早い開演1時間半前。待ちわびたファンが詰めかけ、河合隼雄財団のスタッフら約20人が対応に追われた。

 講演後も、聴衆は高揚冷めやらない。熱心にメモを取ったという千葉県市川市の会社員、田中安美(あみ)さん(22)は「ジョークを交えたり、河合隼雄さんの物まねをされたりで、ユーモアのある方だったことが意外」。

 連休だったからこそ、来場できたような人も。公務員の嶋田竜太郎さん(36)は、東京都大島町の伊豆大島から来た。「講演中、時々照れ笑いをして、シャイな人という感じ。小説の技術的な話も興味深かった」と、うれしそうだった。

 文壇関係者の姿もちらほら。「村上春樹論集」などの著書がある文芸評論家で早稲田大教授の加藤典洋さん(65)は「(村上さんは)とても丁寧に話されていた。背景に、河合隼雄さんへの敬愛の念を感じた。新作について、かなり詳しく語ったのも珍しい。リラックスして質問に答えていたのは、会場が東京などではなく京都だったことも影響したのでは」と分析した。【鈴木英生、清水有香、関雄輔】
    --「村上春樹さん:京大で公開インタビュー 「物語」とは人の魂の奥底にあるもの ジョーク交え、小説論語る」、『毎日新聞』2013年05月07日(火)付夕刊。

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http://mainichi.jp/feature/news/20130507dde041040038000c.html

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村上春樹さん:人と人のつながりに共感…新作について語る
毎日新聞 2013年05月07日 10時38分(最終更新 05月07日 13時00分)


贈呈されたブロンズ像を手に、カフカ賞受賞を喜ぶ村上春樹さん=2006年10月30日、会川晴之撮影
拡大写真
 作家、村上春樹さん(64)が6日、京都大百周年記念ホール(京都市左京区)で行われた公開インタビュー「魂を観(み)る、魂を書く」(河合隼雄財団主催)に登場した。村上さんはミリオンセラーとなった新作長編小説「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」について、「(作中の多彩な)人物をここまできちんと書いたのは初めて。書きながら、人間と人間のつながりに強い関心と共感を持つようになった」などと背景を語った。

 定員500人の会場は一般公募の当選者らで満員となった。全国各地から駆けつけた聴衆は注意深く聴き入り、村上さんが時折交えるジョークに笑い声を上げた。

 村上さんは小説家の役割について「人々が持っている物語を相対化しモデルを提示すること。僕の物語と読者の心が共鳴することで、魂のネットワークが作られる」と強調し、デビューからの作品の変遷に触れた。「ノルウェイの森」以来のリアリズム(現実主義)で表現した作品である新作に関し、「表面には現実、その底には非現実がある。文学的な後退だと思われるかもしれないが、自分としては新しい試みをしている」と明かした。

 最後に「僕が本当にうれしいのは本を出すとそれを待って買ってくれる読者がいること。一生懸命書いているので、よろしくお願いします」と語りかけ、場内を沸かせた。

 同財団が臨床心理学者の河合隼雄さん(1928-2007)の業績にちなみ創設した「河合隼雄物語賞・学芸賞」を記念する催し。河合さんと親交のあった村上さんが、文芸評論家で本紙書評執筆者の湯川豊さんを聞き手に語った。村上さんが国内の公開の場で発言するのは04年11月の東京都内での出版イベント以来。主催者の要請で、この日は会場内での撮影は禁止された。【棚部秀行、大井浩一】
    --「村上春樹さん:人と人のつながりに共感…新作について語る」、『毎日新聞』2013年05月07日(火)付、電子版。

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http://mainichi.jp/feature/news/20130507k0000e040061000c.html

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