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覚え書:「書評:黄禍論と日本人 飯倉章著」、『東京新聞』2013年5月5日(日)付。

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黄禍論と日本人 飯倉章 著

2013年5月5日

[評者] 成田龍一 日本女子大教授。著書『近現代日本史と歴史学』など。
◆風刺画を丹念に解読
 「黄禍論」とは、白人たちが「黄色人種」の脅威を説くもので、ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世-カイザーが十九世紀末に唱えたとされる。人種偏見が基調をなすが、本書はこの黄禍論の様相を、日清戦争から義和団出兵、日露戦争、さらに第一次世界大戦の時期まで広範に扱う。「民族」に軸足を求めていた近代日本であるが、「人種」概念もまた、世界では重いものであった。
 いまひとつ、本書では『パンチ』など外国の諸雑誌に掲載された諷刺画(ふうしが)を用いて、その様相を説明する。諷刺画の解読は、出来事を仔細(しさい)に知り、その文脈に通じていなければならず、ひねりの解釈は容易ではない。著者は百数十点に及ぶ諷刺画を取り上げたんねんに解読し、この時期の国際関係を浮き彫りにしていく。著者の営みは、この時期の日本が、人種という眼鏡を介して「外」からいかに見られていたかを記すことともなった。
 カイザーのスケッチをもとにした寓意(ぐうい)画「黄禍の図」が、次々にパロディ化されて行く過程など興味深いが、本書で取り上げられる諷刺画は、黄禍論をテーマとしつつ、日本がその多くを占める。いっそのこと、諷刺画と黄禍論の解説と二兎(にと)を追うのではなく、諷刺画による日本イメージの推移としたほうがすっきりしたようにも思える。
いいくら・あきら 1956年生まれ。城西国際大教授。著書『日露戦争諷刺画大全』など。
(中公新書・903円)
◆もう1冊
 H・ゴルヴィツァー著『黄禍論とは何か』(瀬野文教訳・中公文庫)。ドイツの歴史学者が黄色人種脅威論を分析。
    --「書評:黄禍論と日本人 飯倉章著」、『東京新聞』2013年5月5日(日)付。

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013050502000179.html


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