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覚え書:「今週の本棚・新刊:『秩序の夢 政治思想論集』=苅部直・著 」、『毎日新聞』2013年06月16日(日)付。


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今週の本棚・新刊:『秩序の夢 政治思想論集』=苅部直・著
毎日新聞 2013年06月16日 東京朝刊

 (筑摩書房・3780円)

 丸山眞男論などで知られる日本政治思想史家による評論集。あとがきで語っているように、政治そのものというよりは、文化や芸術、社会を論じた評論を選び収録した。近代において人々が「秩序」をどのように構想し、維持し、変革を試みたのかというテーマが通底している。

 過去の書物をひもときながらも、執筆時の今日的な課題や潮流に引きつけて語られている。なかでも2001年9月11日の米同時多発テロの後、翌02年執筆の「混沌(こんとん)への視座--国家と暴力をめぐって」の論考が興味深い。テロとその後の米国のアフガニスタン攻撃について<平和な日常生活を突然にくつがえす暴力の噴出と、それを封じこめ、排除しようとする国家の暴力とが交錯する空間>と断じ、私たちの平穏と秩序は国家の暴力によって保障されているのだという、まぎれもない現実について考察する。

 そこから坂口安吾の「堕落論」と丸山眞男らの戦後民主主義を対比させながら、個人と国家の関係性に対する両者の考え方の違いを語る展開も巧み。60年以上前の論考が9・11へとつながり、今読むと憲法改正論議についても考えさせられる。(さ)
    --「今週の本棚・新刊:『秩序の夢 政治思想論集』=苅部直・著 」、『毎日新聞』2013年06月16日(日)付。

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[http://mainichi.jp/feature/news/20130616ddm015070024000c.html:title]


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秩序の夢: 政治思想論集
苅部 直
筑摩書房
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