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覚え書:「書評:素顔の新美南吉 斎藤卓志 著」、『東京新聞』2013年06月16日(日)付。


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素顔の新美南吉 斎藤卓志 著

2013年6月16日

◆壮絶、哀切な晩年活写
[評者]宮川健郎=武蔵野大教授
 新美南吉は一九一三年、現在の愛知県半田市に生まれた。旧制中学のころから文学に関心をもち、雑誌に投稿する。児童雑誌『赤い鳥』には、童謡が二十三編、童話が四編掲載された。いま、全社の小学校国語教科書にのっている「ごん狐」も最初、『赤い鳥』に掲載された。その後、東京外国語学校(現在の東京外語大)入学のために上京し、卒業後、東京で職を得るが、喀血(かっけつ)して帰郷する。
 本書は、その新美南吉の評伝である。帰郷後、二十四歳で安城高等女学校教諭になってから、二十九歳で亡くなるまでを中心に書いている。
 教師としての南吉は、作文指導に熱心だった。予餞会(よせんかい)のために戯曲も書いた。心ひかれる女生徒がいたり、結婚を考えた女性がいたり、青年教師らしい日々が描かれる。また病がしのびよってくるが、南吉は執筆をつづける。死の前年に童話集『おじいさんのランプ』が刊行され、没後に出版された二冊の童話集のための作品も書いた。著者は、南吉の日記や書簡、教え子らの証言などの資料を駆使して、早すぎる晩年の南吉を活写する。死を前にして、それでも書きつづける南吉のすがたは、壮絶であり哀切だ。
 ことしは、新美南吉生誕百年。南吉童話は読みつがれている。著者が南吉の晩年の作品をどう読むのか、それをもっと知りたいと思った。
 さいとう・たくし 民俗学者。著書『世間師・宮本常一の仕事』など。
(風媒社・2310円)
◆もう1冊
 『新美南吉童話集』(千葉俊二編・岩波文庫)。「ごん狐」「おじいさんのランプ」など、南吉の作品十四篇を収録。
    --「書評:素顔の新美南吉 斎藤卓志 著」、『東京新聞』2013年06月16日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013061602000168.html:title]


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素顔の新美南吉―避けられない死を前に
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