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覚え書:「今週の本棚・新刊:『波打ち際に生きる』=松浦寿輝・著」、『毎日新聞』2013年06月30日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『波打ち際に生きる』=松浦寿輝・著
毎日新聞 2013年06月30日 東京朝刊

 (羽鳥書店・2310円)

 詩人であり小説家であり批評家である著者は昨年3月、定年まで7年を残して東京大学の教壇を去った。その際におこなった「退官記念講演」と「最終講義」をまとめた本だが、柔軟かつ強靱(きょうじん)な知的刺激に満ちている。表題と同じテーマで語られた前者の講演は、内房総の海岸にまつわる自身の幼少時の体験に始まり、多様な表現の境界領域を志向してきた著者の資質をよく示すものだ。

 しかし、こうまとめてしまうと、ここにある魅力は伝わらない。「近代的な時間システム」をめぐる順応と反抗、束縛と逸脱といった対極的な欲望の「錯綜(さくそう)した絡み合い」を講じた「最終講義」もそうだが、著者は常に具体的な名前と言葉、画像(映像)を博引しつつ、思考そのものを織り上げていく。その手つきはきらびやかで、ドラマチックで、知的に構成されていながら感覚的でもある。

 ヴァレリー、折口信夫、エッフェル、ヒッチコック、萩原朔太郎、ルイス・キャロル、ダーウィン、吉田健一……と、主だった固有名詞を挙げるだけでも、踏み破られた領野の広大さは知られよう。ここから新たにどのような言葉の織物が紡がれるか、期待と興味は尽きない。(壱)
    --「今週の本棚・新刊:『波打ち際に生きる』=松浦寿輝・著」、『毎日新聞』2013年06月30日(日)付。

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[http://mainichi.jp/feature/news/20130630ddm015070061000c.html:title]

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