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覚え書:「今週の本棚・新刊:『日本国憲法の初心 山本有三の「竹」を読む』=鈴木琢磨・編著」、『毎日新聞』2013年08月11日(日)付。


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今週の本棚・新刊:『日本国憲法の初心 山本有三の「竹」を読む』=鈴木琢磨・編著

毎日新聞 2013年08月11日 東京朝刊

 (七つ森書館・1680円)

 書物には“顔”がある。品格とでも言えばいいだろうか。それは昨今の電子書籍では味わえない確かな手触りである。手練(てだ)れの新聞記者である著者が、慌ただしい仕事の合間を縫ってJR中央線・荻窪にある古本屋をのぞき、「ただならぬ」一冊の本と偶然出合う。そして、本書は生まれた。

 その本とは作家、山本有三の『竹』。昭和二十三年刊行、100ページ足らずの薄い新書だが、造本センスが光っていた。和紙を使った白と紺の品ある装丁に対し、「戦争放棄と日本」という声高なタイトル。著者はこの「奇妙な落差」を見逃さずに一読、圧倒されたのである。

 『路傍の石』を書いた有三は理想主義者であり、戦後、貴族院議員、参議院議員という政治家の顔を併せ持った。先を見通せない混乱期、新憲法の口語化に携わり、越後長岡の逸話「米百俵」をひいて教育の重要性を説いた人である。彼は潔く散る桜よりも、四季を通じて色を変えずに天を目指し、重い雪を払いのける竹を好んだ。『竹』にはそうした精神が宿る。戦後68年の夏。改憲論議を前に改めてこの国の品格を考えるヒントが詰まった一冊だ。(雄)
    ーー「今週の本棚・新刊:『日本国憲法の初心 山本有三の「竹」を読む』=鈴木琢磨・編著」、『毎日新聞』2013年08月11日(日)付。

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[http://mainichi.jp/feature/news/20130811ddm015070031000c.html:title]


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日本国憲法の初心―山本有三の「竹」を読む
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