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覚え書:「今週の本棚・本と人:『千曲川ワインバレー 新しい農業への視点』 著者・玉村豊男さん」、『毎日新聞』2013年08月11日(日)付。


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今週の本棚・本と人:『千曲川ワインバレー 新しい農業への視点』 著者・玉村豊男さん

毎日新聞 2013年08月11日 東京朝刊


 (集英社新書・798円)
 ◇持続へ向かうライフスタイル--玉村豊男(たまむら・とよお)さん

 生まれも育ちも東京でフランス通のエッセイストが、ひょんなことから長野県軽井沢に移り住んだのはバブル経済絶頂期。テニスの合間にうまいものを食い、地元住民とのほほ笑ましい交流を描いた著書『軽井沢うまいもの暮らし』をうらやましく読んだ。学生だった私は東京・四谷のカリフォルニアワイン専門商社でラベル張りのアルバイトをしていた。まだ日本ではなじみが薄く、ようやく「ボージョレ・ヌーボー」なる新酒が出回り始めた頃である。

 著者はその後、原因不明の病で療養を余儀なくされ、「人生の後半は土を耕して暮らそう」と一念発起。20年余り前、標高850メートルの里山に土地を買い求め、ワイン用ブドウの苗木を植えた。眼下に上田盆地と千曲川の流れを、遠くに北アルプスを望む美しい丘を「ヴィラデスト」と名付けた。今や信州有数のワイナリーに育ち、「千曲川ワインバレー構想」の中心人物として、新たな日本農業の可能性に言及したのが本書である。

 単なる成功譚(たん)ではない。新規就農をするにも一苦労だったという。「まだ欧州のようにワインを楽しむ文化は根付いておらず、植え付けようにも生食用ブドウとの違いを理解してもらう必要がありました」

 著者はそんな時でも焦らない。地域の寄り合いに積極的に出てとけ込み、地道に賛同者を増やしていく。この10年で千曲川流域に3軒のワイナリーができ、地元自治体や農協を巻き込んで開講した「県ワイン生産アカデミー」に、全国から新規就農希望者が相次ぐまでになった。

 「ワイナリーは地域にたくさん集まれば集まるほどいい。ライバルはよき仲間です」。共に学び助け合うことで、人が人を呼び発展する。観光経済にとどまらず、あらゆるサービス業に裾野は広がっていく。

 「新しい農業が生み出すライフスタイルです。高度成長時代のように拡大を望まず、あくまで持続を目指す。『ワインのある食卓』は、生きる喜びをかみしめることができるのです」。日に焼けた顔は自信に満ちて見えた。<文・中澤雄大/写真・手塚耕一郎>
    --「今週の本棚・本と人:『千曲川ワインバレー 新しい農業への視点』 著者・玉村豊男さん」、『毎日新聞』2013年08月11日(日)付。

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[http://mainichi.jp/feature/news/20130811ddm015070057000c.html:title]


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