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覚え書:「悼む ロバート・ベラーさん 米宗教社会学者」、『毎日新聞』2013年09月23日(月)付。


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悼む
ロバート・ベラーさん 米宗教社会学者
7月30日死去・86歳

魅力的な思考展開

 ロバート・ベラーはいかにも学者らしい学者だったが、また荒野を彷徨い、神に問いかける預言者のようでもあった。ウェーバーやデュルケム以来の、人類史的・文明史的な宗教社会学の構想を現代に引き継ごうとし、「公共哲学としての社会科学」に挑み続けたのがベラーだった。
 ハーバード大学でタルコット・パーソンズに信頼され、宗教研究を委ねられてきた若きベラーは、哲学や文化人類学をも貪欲に学び禅にも親しんだ。日本文化研究に取り組み、丸山眞男も大いに刺激を受けた「徳川時代の宗教」(1957年)は、今も日本でも海外でもよく読まれている。この著作はベラーの比較文明史的な視野の広さを支える基礎となったものだ。
 70年前後に2人の若い娘に先立たれたベラーは、個人主義の限界に強く思いをいたし儀礼的なものの価値を見直した。そして、個人の自由と自律を支える宗教や精神文化の伝統が現代社会でどのように生かされうるのかを問うた「心の習慣--アメリカ個人主義のゆくえ」(85年)は学術書としては異例なほどに幅広い読者を獲得する書物となり、政治家にも大きな影響を及ぼした。刊行後にカリフォルニア大学留学中だった私は、この書に寄せるベラーの情熱に感染したものだ。
 2011年、「人類進化の中の宗教」という大著を刊行、あらためて注目を浴び、世界各地で講演やセミナーに招かれていた。昨年秋、立教大学の招きで来日し、幅広い聴衆の感銘をよんだのは記憶に新しい。
 書物を通して、また近くにいてその考えを聞き逃したくない、そんな気持ちが今もふつふつと沸いてくる魅惑的な大学者だった。(上智大学教授・島薗進)。
    --「悼む ロバート・ベラーさん 米宗教社会学者」、『毎日新聞』2013年09月23日(月)付。

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[http://www.rikkyo.ac.jp/feature/lecture_report/2012/10/post-120.html:title]
[http://www.rikkyo.ac.jp/events/_asset/120929100206.pdf:title]

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