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覚え書:「書評:文学のことば 荒川 洋治 著」、『東京新聞』2013年9月1日(日)付。


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文学のことば 荒川 洋治 著

2013年9月1日

◆くもりない目で見る
[評者]渡邊十絲子(としこ)=詩人
 いいまわしに凝っていて、情緒的。感覚の繊細さをほこるように、こまやかな描写がつづく…。世間的に、<詩人の書く文章>といえば、そんなイメージだろう。しかし荒川洋治の文章はちがう。情緒的な湿度はどこまでも低く、自己満足におちいりがちなこまかい感覚描写も遠ざけている。
 それはつまり、ストイックで的確なことばを選びつづけることによって、そのような自己をつくろうとしている、ということである。人はよく、文章には書き手の人がらがあらわれると思っているが、事実は逆で、書くことばの性質がその人の人格をつくっていく。
 虚飾のないことばを書いているから、ものを見る目にくもりがない。率直で簡潔だ。本書に収められたひとつひとつのエッセイはごく短い。テーマはいま昔の詩や小説であり、またテレビや新聞についても書いている。世の中のあらゆることばに目を届かせようとしているのだ。
 「顔色を見ながらすべてをまわりに合わせる、いまのような時代」。著者は世の中をそのようにとらえている。でも厭世(えんせい)的なことは書かない。役者がすてきだ、テレビドラマがおもしろい、昔の本が自分の心を照らす、というふうに書く。さまざまな話題を通じて、ひとりの詩人がこの世界を好きになろうとしている姿勢が浮かびあがってくるようだ。
 (岩波書店・1890円)
 あらかわ・ようじ 1949年生まれ。現代詩作家。著書『昭和の読書』など。
◆もう1冊 
 水村美苗著『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)。豊かな文芸を生んできた日本語が英語の時代に衰退する問題を議論。
    --「書評:文学のことば 荒川 洋治 著」、『東京新聞』2013年9月1日(日)付。

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