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書評:マーク・ユルゲンスマイヤー(立山良司監修、古賀林幸、櫻井元雄訳)『グローバル時代の宗教とテロリズム いま、なぜ神の名で人の命が奪われるのか』明石書店、2003年。


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マーク・ユルゲンスマイヤー『グローバル時代の宗教とテロリズム いま、なぜ神の名で人の命が奪われるのか』明石書店、読了。宗教は本来、暴力に終止符を打ち、平和と秩序をもたらすものだが、「平和」を実現するために戦っているのが宗教の歴史。本書は、宗教を単純に恐怖と愚劣の対象として理解する喧噪を退け、その真相とメカニズムに迫ろうとする試みだ。

第1部では、宗教的テロ事件に対する取材からその思考パターンと心情を抽出し、第2部で宗教暴力の論理を腑分けする。特定の宗教伝統のみが好戦的ではない。好嫌を超え、宗教をもう一度捉え直すことが必要か。

キー概念となるのは「コズミック・ウォー」。暴力の連鎖を続け戦う人間は、秩序や真理の確立を妨げられた被害者意識を原動力に、妥協のない善と悪といった二項対立でのめり込む。しかし、これは宗教だけに限定される話ではない。

単純に宗教を断罪するのではなく、「宗教的イマジネーションが今日なお公的な場で力を保持していること、そして多くの人が宗教のなかに主義主張よりも暴力からの癒しを求めようとしている」ことから理解するほかない。

世俗主義は、前時代に対する反省からの当然の要請としても、公的空間が実際のところ特定の価値観を代表したりする形で、価値並立が歪つになった場合、それは批判・再構築されてしかるべきだとは思う。しかし、前近代に対する反省の価値や、並立されたそれぞれの垂直性は尊重されなければと思う。

宗教はある一面では確かに「個人のものとしての私の領域」に存在するが、人間の場である以上、必然的に発露する。支配は不要だけれども、とにかく、宗教は公的領域に顔を出すなと一元的に押し込めることも見直す必要があるのかも。そして同時に近代的価値(例えば政教分離)と両立させるかが課題か。

短気な直情型の全否定主義で片づくのではなく、必要なのは、根気づよさか。異なる他者と共に生きるということは、排除によって成立するのでもなければ、妥協の産物でも決してない。むしろ単純さや無視を決め込むのではない、ねばり強い根気づよさが必要なのだろう。

手垢にまみれた宗教概念をもう一度捉え直すヒントになる。

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