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書評:中見真理『柳宗悦 「複合の美」の思想』岩波新書、2013年。


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中見真理『柳宗悦 「複合の美」の思想』岩波新書、読了。民藝運動の先駆者は、アイヌや沖縄といった帝国の辺境になぜ目を向けるのか--。

その謎を解くカギが「複合の美」。相互尊敬に基づく「複合の美」とは文化的多元性の尊重する態度である。柳の場合、それは概念に留まらず社会観まで視野に入れたものであり、生活の美でもあるから、中央から辺境へ--という眼差しは必然といってよい。

複合の美の対極とは、他者への暴力と不寛容。著者は柳の多彩な活動の根柢にそれを見出す。植民地主義や同化政策への批判もその非暴力と非戦の信念ゆえのこと。暴力の連鎖に対峙するその精神を汲み直す著者の専門は国際関係思想史というから驚くばかりだ。

「柳は人であれ、地域、民族であれ、それぞれがもてる資質を最大限に発揮し、互いが互いを活かすことによって世界全体がより豊かになるよう願いながら、社会通念と闘い続けた思想家であった」。[http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1307/sin_k718.html:title]

柳像一新する好著。

( さてと~蛇足。柳宗悦の眼差しに対する批判が多いなかで、その根本的精神を今一度捉え直し評価していくということは、日本思想史において、ほんと時代を画する快挙といってよい。余談ながら、何かあると「でていけ」「核武装乙」を叫ぶ国士界隈の方もバカの一つ覚えを辞めて、日本思想史の伝統から問い直して欲しいものだ。 )


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