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日記:2013年度パピルス賞:植木雅俊訳註『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』岩波書店。


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「制度としてのアカデミズムの外で達成された学問的業績」や「科学ジャーナリストによる業績」を顕彰する「パピルス賞」に、植木雅俊訳註『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(岩波書店)が選ばれたとのこと。昨日十日は中村元博士のご命日。中村先生の最晩年のお弟子さんの成果が評されるとは意義深い。

植木雅俊さんは「維摩経」の対訳の前に、『梵漢和対照・現代語訳 法華経』(岩波書店)を出版しているのですが(第62回毎日出版文化賞受賞)、在家主義の「維摩経」翻訳が選ばれたというのは、「制度としてのアカデミズムの外で達成された学問的業績」を称する「パピルス賞」との深い縁を感じる。

今年は植木雅俊さんの『思想としての法華経』(岩波書店)と、山口周三『南原繁の生涯』(教文館)の書評を書いたのだけれども、両著者ともにまさに「制度としてのアカデミズムの外で達成された学問的業績」。両著ともその手続きは無視するどころか最高級の仕上がり。こういう挑戦こそ本当の刺激。

アカデミズムには問題はあるけれども、つくづく実感するのは、まさに、南原繁の弟子丸山真男の言葉。「一国の学問をになう力は--学問に活力を賦与するものは、むしろ『俗人』の学問活動ではないか」(『現代政治の思想と行動』)。所謂アカデミズムと俗人の活動の有機的関係こそ大切ですね。

まあ、その意味では、橋下徹さんが舌鋒鋭く「学者は現場を知らない」とかいうのも、実際のところ、典型的なためにするもの謂いであって、ナンセンスこのうえない。もちろん、その特権的地位に甘んじることは問題だろうけれども、極端な二元論で狭めていくことこそ、「探求」を破壊するのだろう。


[http://d.hatena.ne.jp/ujikenorio/20130101/p1:title]

[http://d.hatena.ne.jp/ujikenorio/20130201/p1:title]

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