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日記:ナショナリズムに勝てるのは反ナショナリズムではなくて、べつのかたちのナショナリズムだが、これにも当然、限界がある訳でして・・・

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横浜旅行への渦中、ちょうど、藤井聡『新幹線とナショナリズム』(朝日新書)を読んだのだけど、ていよく裏切られた。世界に冠たる日本復活のために新幹線はナショナリズムで作られたけれども、その心象と政治思想史を腑分けするのかと思いきや、豊かさと絆再興のために新幹線で「日本を取り戻せ」だった。朝日らしくない。


著者によれば、ナショナリズムとは否定的に捉えがちだけれども、「国」を「家族」とみなす「国家主義」としての佳い側面は評価すべきで、「ナショナリズムは努力なくしては成立し得ない」とか。

残念のザブトン三枚で、安倍政権の国土強靭化が……うわやめろ、という話でありました。

そんで、雨宮処凛・萱野稔人『「生きづらさ」について 貧困、ナショナリズム、ナショナリズム』光文社新書、も電車で読んだのだけど、共同体主導で「努力しろ」式の歪んだ扇動ではもはやどうしようもないのが現状。モラル主義は現実をごまかすだけだし、ナショナル~で強化なんてもはや無理ですよ。


ストロングタイ(強い絆)ではなくしてウィークタイ。これをホント、どう立ち上げるかですよ。ストロングタイは瞬間湯沸かし器としては機能するけれども、99%の人間は生きづらさを感じざるを得なくなる訳だから、そういうのじゃないコミュニティデザインが自分自身も課題です。

僕個人は究極的にはリバタリアンなのですが、現実の是正のないまま、すてんと変えることができない意味と、自身が貧困層なのでアレですが(涙、社会保障制度含めて底上げを前提にやっていかないと、国民の大半を切り捨てて終わるパターンになりますよね

ほんと、ここが課題です

先の著者のあとがきにはつぎのようにありますが、すなわち

「ついては本書が一人でも多くの日本国民の目にとまり、この平成の御代に充満する浮ついた『空気』が、少しでも冷静で真っ当な『世論』(輿論)へと消化していくことを祈念しつつ…」。

浮ついた空気も真っ当な世論も同じ人が設定するわけなんだがね。

おっと、「第2次安倍内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)」だったか。自然科学の政治的中立性なんてあやしいものですよ。

……おっと誰かが来たみたいだな。

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雨宮 萱野さんは、左翼的な労働運動に右の人たちがきていることについて、どう思いますか?
萱野 いいと思いますよ。もちろん実際の共闘の場面ではいろいろと難しいこともでてくるかもしれませんが。でも、できるだけ左翼はふところの深い存在になることを目指すべきです。
 個人的には、ナショナリズムの視点から格差や貧困を問題にするのは、最初の一歩としてありだと思っています。「同じ日本人なのに、こんなに格差があっていいのか」とか、「日本社会における貧困の問題を、日本人として放っておいていいのか」というふうにです。
 あるいは、ナショナリズムによって、いまの政府や経済かのあり方を批判することだってできると思います。たとえば、「こんなに格差を放置しておいて、それも格差を助長するような政策をしておいて、『美しい国へ』(安倍前首相の本のタイトル、文春新書)もクソもあるか」という批判の論法ですね。
 実はこうした批判の論法ってすごく強いんですよ。やっぱ、ナショナリズムに勝てるのは反ナショナリズムではなくて、べつのかたちのナショナリズムですから。
 ただこれには限界もあります。というのも、日本にいる労働者って、日本人だけではないですからね。たとえば日本にも外国人研修生の問題なんかがある。日本社会にかぎってみても、プレカリアートの問題は日本人だけの問題ではありません。
 いまは労働市場がどんどんグローバル化されているので、一国内で生じる格差や貧困の問題は、世界的な労働の問題としてとらえることが必要になってきています。でも、入り口として、それから政府を批判したり動かしたりする論法として、ナショナリズムから問題をたててもいいと思っています。
    --雨宮処凛、萱野稔人『「生きづらさ」について 貧困、ナショナリズム、ナショナリズム』光文社新書、2008年、158-159頁。

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