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覚え書:「今週の本棚・新刊:『経済学の3つの基本』=根井雅弘・著」、『毎日新聞』2013年11月10日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『経済学の3つの基本』=根井雅弘・著
毎日新聞 2013年11月10日 東京朝刊

 (ちくまプリマー新書・714円)

 昨今の財界や経済学界の多数派は、経済成長の価値に少しでも疑義を挟まれれば、自らの存在意義を否定されたように拒否反応を示すだろう。そんななかで、経済思想史研究のエースが、多彩な学説を引用しつつ、戦後史に即して「経済成長至上主義」を批判的に検討した。

 100ページそこそこ。学説から学説への議論の流れもきれいでテンポよく読めるが、内容は深い。ガルブレイスら、今の論壇一般の表現では「リベラル」な学者を総登場させて、成長概念の見直しやバブルに踊らない道を示す。他方、1960年代末、新日鉄誕生時の「近経(近代経済学者)グループ」の学説と、財界や官界の対立を引き合いに、学界の現状にも疑義を呈する。古典派と現代の主流に連なる新古典派では競争の概念が違うといった、一見すると純粋に学問的な指摘も、現実を理解する手がかりになるはず、との思いがにじむ。

 何であれ「通念」を相対化する議論が理解されにくい今の世相では、大学生や社会人にとって十二分に刺激的な本かもしれない。本当は、知的好奇心旺盛な高校生が、こうした本を通して明日の経済学を担おうと思ってほしいのだが。(生)    --「今週の本棚・新刊:『経済学の3つの基本』=根井雅弘・著」、『毎日新聞』2013年11月10日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20131110ddm015070025000c.html:title]


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