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覚え書:「今週の本棚・新刊:『彫刻と戦争の近代』=平瀬礼太・著」、『毎日新聞』2013年11月10日(日)付。

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今週の本棚・新刊:『彫刻と戦争の近代』=平瀬礼太・著
毎日新聞 2013年11月10日 東京朝刊

 (吉川弘文館・1785円)

 著者によれば、これまでの美術史研究では1930-40年代、つまり大日本帝国が戦争に邁進(まいしん)していた時代の彫刻は等閑視されてきたという。この時代、多くの政治家、大学の研究者やマスコミ人がそうであったように、少なからぬ美術家たちが戦争を支持し、国家に協力した。敗戦で帝国が瓦解(がかい)し「民主主義」の時代になると、当事者たちが戦争協力の歴史を封印したとしても不思議はない。研究が進まなかった一因だろう。本書は、その未開拓の研究荒野に鍬(くわ)を入れてゆく。

 彫刻家たちを「戦争協力者」として糾弾するわけでもなく、称賛するわけでもない。新聞や文献資料を丹念に追い、淡々とした筆致で当時の彫刻界を浮かび上がらせる。

 戦時下で資材が制限され、群雄割拠状態だった美術団体も一元化された。そうしたやっかいな時勢にあっても、彫刻家たちは「生き生きとしていた」。デパートや劇場で企画展を開き、あるいは「銃後」を鼓舞する作品を制作した。

 戦中や敗戦後、銅像たちがどのような扱いを受けたかもう少し知りたいむきには、著者の前著『銅像受難の近代』がお勧めだ。(栗)
    --「今週の本棚・新刊:『彫刻と戦争の近代』=平瀬礼太・著」、『毎日新聞』2013年11月10日(日)付。

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[http://mainichi.jp/shimen/news/20131110ddm015070071000c.html:title]


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