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書評:ロナルド・H・フリッツェ(尾澤和幸訳)『捏造される歴史』原書房、2012年。

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ロナルド・H・フリッツェ『捏造される歴史』原書房、読了。「アトランティス大陸」から「天地創造説のなかの人種差別」まで--。本書はアメリカにおける疑似歴史、疑似科学隆盛の歴史と現在、そしてその受容心象を明らかにする一冊。
 
疑似科学的なるものを荒唐無稽と退け、信者を相対化させることは極めて簡単だが、恐ろしいのはそれが政治的に利用され人種差別や狂信の道具となったりすることだ。そしてその煽動を「本当」と信じる人々はあとをたたないことが問題であろう。加えて極端な相対主義の蔓延は、真摯な学問的探究根絶やしにしてしまう。本書の報告は日本にも当てはまる。易きへの阿りを排したい。

しかし疑似科学及び疑似歴史のトンデモさは理解しているつもりだけれども、一定の数の信者が存在して、それを主導する人というのがいる。ラエリアンなんていうのもそうだけど、ホント、制度宗教はその堕落を反省し、いかにその魂を回復することができるのかだなあ。ティリッヒの最後の敵は疑似宗教でもある。

その意味で、宗教=弱い者がすがるもの、という認識を一新せねばならないから、制度宗教が絶えず刷新していくほかねえので、頑張って欲しいと思う(既存の構造にあぐらをかくなつう話。加えて言えば、「弱い者がすがる」こと自体が「悪」という認識もちゃんちゃらオカシイ。そんなに強くないよ人間は。

以下は、若干の蛇足……

僕自身は、所謂「御用学者」について、そのレッテル貼りに関しては極めて慎重に抑制的に取り扱わなければならないと考えているけれども、実際のところ、その
御用」とされる人々は、銭金もらってヒャッハーというパターンというのはそんなに多くないのではないかと推察している。

研究資金で「つられた」というよりも、それが「真実である」と「信じて」主張しているというパターンも多いのではないかとは思っている。蓑田胸喜なんかを引くまでもなく。信仰の如きだからこれを崩すのは難しい。


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