« 覚え書:「近代世界システム4―中道自由主義の勝利―1789-1914 [著]I・ウォーラーステイン [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)」、『朝日新聞』2013年12月22日(日)付。 | トップページ | 覚え書:「そこが聞きたい:民主主義国の政治劣化=フランシス・フクヤマ氏」、『毎日新聞』2013年12月25日(水)付。 »

書評:吉見俊哉『アメリカの越え方 和子・俊輔・良行の抵抗と越境』弘文堂、2012年。


101_3


吉見俊哉『アメリカの越え方 和子・俊輔・良行の抵抗と越境』弘文堂、読了。東アジア史とは植民地支配に軸を置く「戦時」の歴史だから、米国の覇権(戦前日本も同じ)とのねじれと真正面から格闘するほかない。本書は、アメリカと関わった鶴見「和子・俊輔・良行の抵抗と越境」(副題)の軌跡を辿り未来を構想する。


成長期をアメリカで過ごし、常に内在的に対話を試みた鶴見家の三人の思考を追うことは、アメリカのヘゲモニーを対置するだけでなく、その前身と継続である日本そのものをも問い直すことになる。「アメリカを超える」ことこそアジアの未来を見通すこと。

アメリカの「力」は解放ではないし、温存する天皇制すら対抗する力たり得ないしゴメンだ。和子の近代日本を超える契機の探究は、学の確立への専念よりも、柳田国男を経て南方熊楠へ至り、良行の目は多様な人々の生きるアジアの海へ向かう。

戦中、戦後の連続性をいち早く自覚した俊輔は、帝国日本とアメリカの「支配」を絶えず相対化させてゆく。三人の鶴見の精神史を腑分けする本書は、私たちのアメリカ認識の薄っぺらさを実感させてくれる。良行は殆ど読んでいない。これを機会に手に取りたい。

[http://www.koubundou.co.jp/books/pages/50122.html:title]


Resize1943


|

« 覚え書:「近代世界システム4―中道自由主義の勝利―1789-1914 [著]I・ウォーラーステイン [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)」、『朝日新聞』2013年12月22日(日)付。 | トップページ | 覚え書:「そこが聞きたい:民主主義国の政治劣化=フランシス・フクヤマ氏」、『毎日新聞』2013年12月25日(水)付。 »

覚え書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/451663/54401020

この記事へのトラックバック一覧です: 書評:吉見俊哉『アメリカの越え方 和子・俊輔・良行の抵抗と越境』弘文堂、2012年。:

« 覚え書:「近代世界システム4―中道自由主義の勝利―1789-1914 [著]I・ウォーラーステイン [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)」、『朝日新聞』2013年12月22日(日)付。 | トップページ | 覚え書:「そこが聞きたい:民主主義国の政治劣化=フランシス・フクヤマ氏」、『毎日新聞』2013年12月25日(水)付。 »