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書評:野村真理『隣人が敵国人になる日 第一次世界大戦と東中欧の諸民族』人文書院、2013年。


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野村真理『隣人が敵国人になる日 第一次世界大戦と東中欧の諸民族』人文書院、読了。一次大戦とは、独仏の直接対決と戦後の民族自決の印象から、帝国から国民国家へ歴史に見えるが、そう単純ではない。帰属意識も疎らな多民族混淆地域の東部戦線では「隣人が敵国人になる」日であった。

言語や宗教の異なる諸民族が複雑に入り組む東中欧。いまだに国民国家を想像できないでいる民衆が存在する。ゆるやかな連合としての帝国の崩壊は、民族自決と国家形成の理念を掲げつつも、多様な人々を置き去りにすることになった。

EUの成立、グローバル化の進展は、国民国家の意義を逓減しつつある。国家=民族である必要はなかろうが、民族であることと、国民であることから置き去りにされる歴史を振り返る本書は、近代とは何かを教えてくれる。知られざる歴史に分け入る一冊。

本書収録の図版で興味深いのがありましたのでご紹介。WWI下のドイツで作成された「2対7!」というポスター。日本の大正天皇嘉仁のご真影も掲載されています。

もちろん、これはドイツで作成された(同盟国vs連合国の枠組みで、当時の日本は連合国側)ものですが、天皇に対する神懸かり的な神格化は、日本でも当時は退潮傾向であったわけでね……(内村事件あたりの時期とくらべてみても)……などと思ったり。

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