« 覚え書:「書評:ミケランジェロ 木下 長宏 著」、『東京新聞』2013年12月08日(日)付。 | トップページ | 覚え書:「「3・11」と歴史学 [編]研究会「戦後派第一世代の歴史研究者は21世紀に何をなすべきか」 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2013年12月08日(日)付。 »

書評:想田和弘『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』岩波ブックレット、2013年。

101

想田和弘『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』岩波ブックレット、読了。橋下現象から安倍政権の誕生まで--。進行する「熱狂なきファシズム」を鋭く抽出する恐ろしい本だ。消費者と化した有権者の意識、みんながハードルを下げ、賢くなることを拒否する態度はオルテガの描く未来予想図の如し。

「主権者が自らを政治サービスの消費者としてイメージすると、政治の主体であることをやめ、受け身になります」。消費モデルで政治を捉えることこそまさに『大衆の反逆』の「慢心しきったお坊ちゃん」(オルテガ)の錯誤。

民主主義の原点は「みんなのことは、みんなで議論し主張や利害をすりあわせ、みんなで決めて責任を持とう」だが、消費者民主主義は「お客様を煩わさないで。面倒だから誰かが決めてよ、気に入ったら買ってやるから」になる。

人々との語らないの中から著者が見出した日本の現状とは、海の外(著者はNYが拠点)では考えられないことだ。熱狂なきファシズムに抵抗していく究極の手段は、主権者一人ひとりが「不断の努力」をしていくことにほかならない。

「首相は庶民と同じでよい」というイデオロギー(芦部知らない事件)の蔓延にも驚くが、映画監督の著者はたびたび「門外漢は口を出すな」「お前は映画だけを作ってろ」というおびただしいリプライ(風潮)により驚く。

“「門外漢は政治を論じるな」という風潮に風穴をあける最良の方法は、「門外漢が実際に政治について語ること」” 民主主義が終了することで深刻な影響を受けるのは無数の「門外漢」。だからこそ不断の努力としての責任が重要か。


Resize1879

日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)
想田 和弘
岩波書店
売り上げランキング: 492

|

« 覚え書:「書評:ミケランジェロ 木下 長宏 著」、『東京新聞』2013年12月08日(日)付。 | トップページ | 覚え書:「「3・11」と歴史学 [編]研究会「戦後派第一世代の歴史研究者は21世紀に何をなすべきか」 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2013年12月08日(日)付。 »

書評」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/451663/54235545

この記事へのトラックバック一覧です: 書評:想田和弘『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』岩波ブックレット、2013年。:

« 覚え書:「書評:ミケランジェロ 木下 長宏 著」、『東京新聞』2013年12月08日(日)付。 | トップページ | 覚え書:「「3・11」と歴史学 [編]研究会「戦後派第一世代の歴史研究者は21世紀に何をなすべきか」 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2013年12月08日(日)付。 »