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書評:宇野重規『民主主義のつくり方』ちくま書房、2013年。

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宇野重規『民主主義のつくり方』ちくま書房、読了。深まる政治への不信と無力感。政治の回路もうまく機能していない現代日本。しかし容易に手放すことは私たち自身の首を絞めることになる。プラグマティズム型民主主義をヒントにその再生を目指す好著。

トクヴィルが驚いたように、核はコミュニティの地生的自治。著者は一般意志よりもプラグマティズムへ目を向け、アメリカン・デモクラシーの「習慣」と「信じようとする権利」に「民主主義の種子」を見出す。国政の議論(大文字の政治)だけが民主主義ではない。

「プラグマティズムの思考はけっして古びてはいない。むしろ、『答えがわからない』現代だからこそ、その思想的意義はさらに大きくなっている。民主主義像の転換を目指して、プラグマティズムの思想を探ってきた本書の結論である」。p.196

本書は『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社メチエ)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)に続くデモクラシー三部作。プラグマティズムを頼りに、民主主義という習慣をローカルな場所から作り直していこうと試みる、具体的な一冊です。

日本でプラグマティズムの評価は低い。しかしその「有用性」とは、単なる実際的に還元できない沃野を含んでいる。宇野重規『民主主義のつくり方』(ちくま書房)は、その消息を丁寧に浮かび上がらせる。あくまで原理的探究の本だが「一人でも多くの読者、とくに若い人」(はじめに)に読んでもらいたい。

ただ、しかし、リチャード・ローティーをはじめ、プラグマティズムに準拠する政治思想の水脈というものは、決して枯渇しておらず、様々な展開があるわけだから、先にも言及したとおり「プラグマティズム=乗りこえられたかつての思想でしょ」みたいな図式は敬遠した方がいい。

この2カ月、ほとんど、政治思想史の本ばかり読んでいる。近刊で言えば、国分功一郎『来るべき民主主義』幻冬舎新書、 想田和弘『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』岩波ブックレットを経て宇野重規『民主主義のつくり方』筑摩書房。民主主義が危機的状況だからこそ、相次ぐのかもです。

『脱構築とプラグマティズム』は博士課程の時に手をとって、「おおー」と唸って、プラグマティズム再発見の契機になった一冊。しかし、思えば、プラグマティストであった鶴見俊輔さんの軌跡の如く、プラグマティズムとは常に「アクチュアル」な訳であって、「おおー」と唸った自分が阿呆ではあったのだ。


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