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覚え書:「書評:池田晶子 不滅の哲学 若松 英輔 著」、『東京新聞』2013年12月01日(日)付。


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池田晶子 不滅の哲学 若松 英輔 著 

2013年12月1日


◆潤いに満ちたコトバ
[評者]横尾和博=文芸評論家
 思索する人は美しい。内面の輝きが溢(あふ)れてまぶしいようだ。本書で語られる池田晶子は、四十六歳の若さで没した哲学者。みずから「哲学の巫女(みこ)」をなのり、難しい哲学をわかりやすく解読したことで知られる。しかしやはり哲学書は難しい。ただ池田の著作には、難解さの背後に彼女特有のリリシズムがみえてくる。そこが並みの哲学者とちがうところ。
 著者も引用しているが「読むことは絶句の息遣いに耳を澄ますことである」と池田は書く。作品を読んで感動を覚えたり、魅せられたりする根拠である。しなやかな感性や細やかな感情こそが、涸(か)れた文学や哲学にいま必要なのだ。
 著者の若松英輔は3・11を契機に死者に寄り添い、石牟礼道子や石原吉郎などに仮託しながら、死の本質を考え続けている稀有(けう)な批評家だ。若松は本書で「巫女は何も自身では語らない。何ものかが、語りかけるのを待つ」「コトバは、その姿を変えて人間に寄り添う」と述べ、自身の哲学と文学観を開陳している。
 なるほど、私たちが池田のコトバを感じるとき彼女は死んではいないのだ。題名の意味が理解できた。
 考えることを失い、感性が鈍磨した時代に、池田の哲学や若松の潤いに満ちた仕事の意義は大きい。著者はそのことを私たちに改めて教えてくれた。私たちは言葉によって生かされている。
 (トランスビュー・1890円)
 わかまつ・えいすけ 1968年生まれ。批評家。著書『死者との対話』など。
◆もう1冊 
 池田晶子著『14歳からの哲学』(トランスビュー)。言葉、死、社会、存在など三十のテーマについて考えた代表作。
    --「書評:池田晶子 不滅の哲学 若松 英輔 著」、『東京新聞』2013年12月01日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013120102000170.html:title]

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