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覚え書:「今週の本棚・本と人:『ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた』 著者・磯前順一さん」、『毎日新聞』2013年12月08日(日)付。


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今週の本棚・本と人:『ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた』 著者・磯前順一さん
毎日新聞 2013年12月08日 東京朝刊


 (集英社新書・819円)

 ◇人々は何に救われてきたのか--磯前順一(いそまえ・じゅんいち)さん

 3日に日本武道館で再結成コンサートをしたGS(グループ・サウンズ)バンド、ザ・タイガース。1960年代後半の結成から解散まで約5年間を当時の資料から描いた。「ファンが楽しく読めて、元メンバーも納得する本を目指しました」

 京都の若者がバンドを組み、大阪市西成区に住んで難波のジャズ喫茶で演奏。瞬く間にデビューすると、東京・麻布の文化人サロン、キャンティの常連に。全国の「普通の女の子」のアイドルとなるも、ポップスや芸能界が激変する時代に模索し、苦悩し、解散する。

 自身は宗教学者だ。本書は、所属する国際日本文化研究センターでの共同研究の成果でもある。「宗教学や民衆史的な問題意識に基づき書いています。それに私は、ずっとタイガースが好きでしたから」

 強固な一神教が広くは根付かない日本で、人々は何に救われ、自分を支えてきたか。特に農村社会と通俗道徳が崩れた60年代半ば以降、ポップスターこそが、キリストのように超越的なものを民衆に感じさせてきたのではなかったか。

 「現代思想的に言うと、人は、どうしても自分を魅了する『他者』の『声』に振り返って『主体』になる。『声』に特定の名前を付けて絶対化すると宗教の暴力が始まる。タイガースを通して、名付け切らない主体形成を考えたかったのです」

 あの頃、メンバーもファンも皆違うタイガース像を見ていた。「彼らの動きは、思想家レヴィナスの言葉を借りれば、全体性ではなく無限を開く過程でもあった。当時の思想的課題を全く違う日本の話と誰もが読める文章で論じました」

 自身は、解散数年後の中学時代にファンとなり、洋楽好きの周囲にばかにされた。「私は洋楽も聴きつつ、下手で『お嬢ちゃん向き』のタイガースも好きだった。この面を否定したかった時期もある。そうではなく、知的なあり方を手放さずに自他の民衆意識と向き合おう、と。戦前左翼の転向問題にも関連できる話だと思います」。他に、再結成ツアーのパンフレットに協力。共同研究のメンバーは、DVDボックスセットの作成にも関わっている。<文と写真・鈴木英生>
    --「今週の本棚・本と人:『ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた』 著者・磯前順一さん」、『毎日新聞』2013年12月08日(日)付。

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