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覚え書:「書評:日本の歳時伝承 小川 直之 著」、『東京新聞』2013年12月08日(日)付。


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日本の歳時伝承 小川 直之 著

2013年12月8日

◆餅を食べない正月も
[評者]金田久璋(ひさあき)=民俗学研究者
 「まえがき」で折口信夫の説を引用しているように、日本の伝承文化としての歳事、すなわち「年中行事」を対象とする民俗誌である。ちなみに歳時記とか歳時習俗という言葉は知られているが、「歳時伝承」という四字熟語があるわけではない。いわば歳時文化への深い造詣に基づく造語である。
 日本古来の文化や歴史をより深く理解するために、「正月餅と餅搗(つ)き」「目一つ小僧」「磯遊び」「花見とサクラ」「二百十日と風祭り」など、全国の歳時伝承を三十六項にわたり取り上げる。学会誌でなく俳句の雑誌に連載された本書は多角的で具体的かつ平易な解説がなされている。加えて博覧強記で独創的な知見が至る所にちりばめられる。
 例えば「年取りと雑煮」には彦根藩領の代官だった世田谷大場家の『家例年中行事』から、正月三が日の餅を入れない雑煮と四日以後の餅入り雑煮の使い分けを事例に、史料を分析してサウニ(雑煮)、ホウサウ(烹雑)、オカン(お羹)の三種類の雑煮が比較され、全国の多様な雑煮や「餅なし正月」にも目配りを欠かさない。「生活の古典」とも呼ばれる民俗文化の起源に迫るべく、的確に古典が引用されている。大きく様変わりした日本人の生活様式に向き合いながら、あらためて豊穣(ほうじょう)な日本の伝承文化の奥深さを再認識されられる一冊だ。
(アーツアンドクラフツ・2520円)
 おがわ・なおゆき 1953年生まれ。国学院大教授。著書『歴史民俗論ノート』。
◆もう1冊 
 柳田國男著『年中行事覚書』(講談社学術文庫)。日本人の生活を彩り、信仰や連帯感を生み出す季節の行事を紹介。
    --「書評:日本の歳時伝承 小川 直之 著」、『東京新聞』2013年12月08日(日)付。

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[http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2013120802000181.html:title]

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